第1話 『怪獣総進撃』より 凶暴怪獣 アーストロン  
VOLKS JUNIOR ULTRA WORLD NO:073
 

死んだ人間が不死鳥のように蘇った―――。自分を犠牲にして子供の命、子犬の命を救った郷秀樹。マットの加藤隊長は坂田自動車修理工場を訪ね、郷をマットチームの一員として迎えたいと申し込む。突然の事に戸惑う郷。その時、どこからともなく怪獣の咆哮が聞こえて来る。車に飛び乗り導かれるように朝霧山へ向う郷。そこには口から熱線を吐いて村を焼き払うアーストロンがいた―――。

昭和46年4月2日。ウルトラマンがブラウン管に帰って来た。それはきっと大ニュースだったに違いない。違いないなどと歯切れの悪いフレーズになってしまうのは訳がある。第一話「怪獣総進撃」が放送された日は、僕が4歳の誕生日を迎える一ヶ月とニ日前の事。母親曰く、僕は帰って来てウルトラマンの本放送をテレビにかじりついて見ていたと証言しているが、残念ながらまだ3歳………、タッコングとザザーンの激闘も、ウルトラマンと郷秀樹との融合も、アーストロンとウルトラマンの対決も、リアルタイムで味わった感動を告白………とはいかないのである。帰って来たウルトラマンが初めて人々の前に実体を現して闘った相手、それがアーストロンである。小さい頭部から足にかけて次第に太くなっていくアーストロンのシルエットは、平成ゴジラを彷彿とさせ力強さと美しさを醸し出している。余計な装飾を極力排除したアーストロンの数少ない特徴は、後頭部から半円状に曲がった一本角と二列に分かれた背ビレ、そして黒目の多い優しそうな瞳である。いかにも凶悪そうな三白眼とは違って、アーストロンの瞳は大きくまるで子犬のような愛らしさである。あの瞳を見ているとどうにも凶暴怪獣という別名がそぐわない。  原型はJr.ワールド初登場の河本氏。確かな造形力でアーストロンの特徴を見事に表現しきっている。口の開・閉別パーツも嬉しい。さて、アーストロンをうまく見せるには、体色をどこまで青くするかにかかっている。ベースは黒、そこからドライブラシで色んな青を乗せていく。余りやりすぎても、やりすぎなくてもいけない。キットの塗装をしていると、微妙なさじ加減は不思議とキットが教えてくれるものである。



全高 重量 材質 原型
205mm 300g ウレタン樹脂 河本 建次