トップページ > アザーズ > ゴールドサタン
かなめみお
黄金怪人 ゴールドサタン
Chapter of MIRRORMAN 〜GOLDSATAN〜
第7話 『打倒! 人体侵略作戦』より 黄金怪人 ゴールドサタン
かなめみお 怪々大行進077
 


黄金+悪魔という名を冠した存在。でも、不思議と記憶には残っていない。おそらく巨大化して戦わなかったのが一番の理由だろう。ミラーマンの初期はウルトラとの差別化を模索していた時期であり、能面を彷彿とさせる怪獣のマスクや、等身大のままの戦い方、異次元世界の表現など良い意味で何事も挑戦的だった。ただ、僕個人としてどうだったかと問われれば、怪獣のデザインは今ひとつ好きになれず、等身大の戦いは同時期の仮面ライダーの迫力には遠く及ばなかったことを覚えている。このゴールドサタンも存在としては知っているが、思い入れなどはさしてない。しいて挙げるならアカデミー賞の授賞式で手渡されるオスカー像に似ているというくらいだろうか。だが、またしてもこの方の想いに覆されることになった。森下要氏である。要さんは兎に角、怪獣・怪人への愛が深い。メジャー、マイナーに関わらず、いや、マイナーであればあるほど温かい愛情を注ぎ込む。造型からそれがひしひしと伝わってくるのだ。一度手に取って制作を始めると、(こんなところに凹凸があったのか)とか、(着ぐるみ特有の皺の再現が凄い)とか(顔の形がユニークだ)などなど、知らなかったことや面白い発見が次々に見て取れる。五角形をした足の中指にしたって、別パーツでこれを再現するというこだわり様だ。もはや笑ってしまうくらいの愛情深さなのである。これほどの熱量をもってしてゴールドサタンを造れる人はおそらく他にいないだろう。やがてその熱量は制作するこちらにも乗り移り、夢中で向き合い、ついに仕上がる頃にはゴールドサタンが大好きになっている。これはもうマジックである。



彩色はダークロンと同じように絵画調で行ってみた。つまり、サラッとではなくゴテッとだ。なんせゴールドサタンの体色は顔を覗けば金一色、なんの変哲もない。イメージしたのはくすんだ銅像、数世紀に渡る埃や汚れが付着して、それがある種の模様となったような雰囲気である。全身をジャーマングレーで塗った後に金色を乗せ、その上から茶色やグレーを筆塗りして立体感を出す。その後からもう一度金色を被せ、全体を調整していった。青い顔は墨入れをしながら表情を作っていった。目には付属のクリアパーツをはめ込んでいるのだが、あまりにも奥目過ぎて写真では見えていないのが残念。色数は少ないが、これまで何度も書いてきた通り、シンプルなものほど難しい。僕はこんな風に塗ってみたが、もちろんこれが正解ではない。これから制作される方は自分なりの表現、己のゴールドサタンを模索してもらいたい。



ミラーマン怪獣もまだまだ数が増えていって欲しい。制作する前は思い入れがないなどと言っておきながら、今ではそんなことすら思っている。すっかり要さんの術中にハマっているというワケだ。もしかしたら要さんこそインベーダーなのかもしれない。













全高 パーツ数 付属品 材質
315mm 15点 目(クリアパーツ) ウレタン樹脂
原型師      
森下 要