先日のことだ。完成したカメレキングをFBにアップした際、とある方からこんな書き込みを頂いた。
「カメレキングの回は先ごろお亡くなりになった上原さんの脚本でしたね」
アッ!と思った。一つはこのホンを書いたのが上正さんだということをすっかり失念していたということ。同時に、このタイミングでカメレキングを仕上げたこと。不思議なくらいカメレキングに呼ばれた気がして手に取ったのだ。もしかしたら無意識に繋がっていたのかもしれないな。上正さんが亡くなったのは本当に哀しかったから。当時の事を思い出しながら手を動かし続けた。
「上正さん、この超獣、覚えてますか? 夜な夜な、手を抜かずに一生懸命仕上げましたよ。仕事もしてます。遊びもやってます。これからもちゃんと見ていてくださいね!」
さて、ここからは造型の話にガラリと切り替えよう。カメレキングの原型は「やはり」というか「当然といおうか」、GORT杉本浩二氏の手による。なんの外連味もない素立ちのポーズでこれほど見栄えがするのだから恐れ入る。もちろん、細かいところにもしっかりと手が行き届いている。石積みのような体表のモールドや、腹や尻尾の裏側の柔らかい皮膚感など、随所に見所が散りばめられている。毎回同じことを書いて恐縮だが、間違いなく本物の着ぐるみよりもカッコいい。なのに、ちゃんと着ぐるみに対してのリスペクトが伝わってくる。杉本さんの卓越したセンスと怪獣に対する愛情の深さが滲み出ている。
そんなカメレキングだが、塗装は意外やハードルが高かった。実はそれほど大変ではなかろうとやり始めたのだ。だって暗い青色とオレンジがかった黄色の二色を再現すればいいわけだから。でも、この色の組み合わせは鬼門だった。そこで、ベースに茶色を塗った。茶色をつなぎにして青と黄を喧嘩させないように工夫した。ご覧の通り、上手く馴染んでくれたと思う。もう一つの難問は羽根の模様だ。映像を見てもよくわからない。そこで静止画で写真を撮ったり、雑誌でそれらしきものを見つけて拡大したりしてみた。最初はマスキングを施そうかと思ったのだが、それだけで膨大な手間がかかりそうだったのできっぱりと諦め、すべて手描きでやってみた。納得がいくと言い切るにはほど遠いが、多少なりとも雰囲気は拾えたのではないかと思う。
創作とは悩んだり、苦しんだりしながら答えを模索すること。物語を作るにしろキットを塗るにしろ、このことだけは共通している。そしてまた、模索が楽しいと思える者だけが続けられるということも分かってきた。生き方は数あれど、僕はこの道から抜け出すことはないだろう(笑)
全高 |
重量 |
パーツ数 |
付属品 |
305mm |
1300g |
13点 |
なし |
材質 |
原型師 |
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ウレタン樹脂 |
杉本 浩二 |
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