呼ばれてしまった……。そう表現するしかないようだ。ユニタングに特別な思い入れは何も無い。しかも、作りかけ、塗りかけのキットが多数放置してある中で、わざわざ棚から箱を取り出し、成型し、洗浄し、パテ埋めして下地を塗り、挙句に塗装まで一気にやってしまった。自分でもなぜこういうことになったのか、ちょっと戸惑っている。ユニタングは別名「くノ一超獣」。やはり、くノ一の術に惑わされてしまったのだろうか……。
「ハチのムサシは死んだのさ〜」と唄いながらサイクリングを楽しむ十人の女子大生。その正体はユニタングだ。九人が自転車ごとピラミッドのように重なって合体変身するシーンは、かなりの衝撃をもたらす。トラウマになった人も多いようだ。残り一人は司令塔として、額に生えた一本角に変化する。……が、おっぱいの数が合わない。前に四人分、後ろに二人分の合計六人分。角は除外するとして、残り三人分はどこにいったのだろう? 作ってみて感じたが、どうやら身体にある丸い突起がそうであるように思えてきた。なんて、どうでもいいような考察をしたが、かつてユニタングを見た成田亨氏は幻滅を通り越し、憤慨されたようだ。著書に「女性の乳房がある怪獣」という記述を吐き捨てるように書いておられたように記憶している。ウルトラの礎を築いたデザイナーには耐え難いものがあったのは想像に難くない。これをグロテスクとみるか、自由な進化とみるかは意見の分かれるところだろう。ちなみに僕は後者だ。時が流れ、世代が変われば、表現もまた形を変えていく。それは止められない。そんな風に思っている。
原型はゴート杉本氏の手による。くたくたな着ぐるみを、今回もまた絶妙なアレンジを加えてカッコイイものに再構築してある。ただ、塗るのは手間がかかった。パーツの組み合わせ云々ではなく、きちんと考え、順序立てて塗っていかないといけない。先走ってくっ付けてしまうと、「塗れない!」箇所が幾つも出てきてしまう。僕は両手を最後の最後にくっ付けた。羽の内側と毛が邪魔をするからだ。そうそう、色も難しかった。どんな赤なのか、他の部分は青なのか緑なのか。幾つも混色し、エアブラシと筆を使って深みが出るようにした。超獣が怪獣より手強いというのは、今のところ至極納得である。
全高 |
重量 |
パーツ数 |
付属品 |
350mm |
1300g |
13点 |
なし |
材質 |
原型師 |
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ウレタン樹脂 |
杉本 浩二 |
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