分かってはいたけど、想像以上に大変だった。塗りの話である。まぁ、二体分なんだからそりゃ当然だ。このブロッケン、着ぐるみはドドンゴやペスターなどと同じで、演者が二人で演じる大型怪獣、いや、超獣である。ヤプールがワニと宇宙生物を合成して誕生させたのだが、ワニの片鱗が見てとれるのは頭部くらいのもので、両手は顔だわ、身体つきは牡牛だわ、鼻から火炎を噴射して、鞭のように伸びる背中の触手からはレーザーまで発射する。暴れっぷりも猛牛そのものである。そういえば、この回のゲストはムラマツキャップこと小林昭二さんだった。久し振りに見るキャップの姿にワクワクしたのも束の間、ブロッケンに身体を乗っ取られて変身するというとんでもない役回りだった。しかし、そんな役をきっちりどっしり演じられていたのはさすがである。
さて、製作は結構なパーツ数がやる気を拒む。超獣は角やらヒレやら触手やらド派手な奴が多いので、必然的にパーツ数が増えるのは仕方がない。そこを気合いで乗り切らないと、塗装にすら入れない。塗りやすさ考えて、背中から伸びる触手は後付けにすると決めた。背中とお腹のヒレヒレはどうするか迷ったが、最初からくっ付ける方向で進めた。バリ取り、洗浄、パテ埋めにかなりの時間を費やし、ようやく塗装準備が整う。まず、口の中を塗装して接着し、パテ埋めして、マスキングする。折角塗った口内はしっかりとガードしなければならない。次に一番陰になる部分にブラックを吹き、次第にブルー系で立ち上げていく。金色の部分もすべてそうした。そこからお腹や足、背中に様々なブルーとブラウンを塗り込んで調子を出し、イソギンチャクのような模様はブラウンを吹いた上から、一本一本のヒダをピンクで筆塗りしていった。問題は全体を覆う金色だ。ベタ塗りしてしまうとおもちゃっぽく見えるし、かといってあまりにも下地の青を活かすとブロッケンのイメージから遠ざかっていく。フレッシュ、サンドイエロー、ブラウン、ここはもう気の済むまで何度も何度も塗り込んだ。最後に触手を取りつけて完成。とんでもなく手強い相手だったが、仕上がってみると実に味わい深い。初期ウルトラ怪獣とは一味も二味も違う、実に面白味のあるカタチである。
全長 |
重量 |
全パーツ数 |
材質 |
315mm |
1400g |
25点 |
ウレタン樹脂 |
付属品 |
原型 |
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なし |
杉本 浩二 |
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