棲星怪獣 ジャミラ
第6話 『宇宙からの帰還』より 棲星怪獣 ジャミラ
 


以前、ジャミラは好きじゃないと書いた事がある。容姿、色彩、鳴き声、何を取っても魅かれない、と。でも、このジャミラは別だ。初めて見た時から不思議と心を捉えて離さなかった。といってもキットの話である。
「ウルトラマンパワード」に登場するジャミラは残念ながら見た事はない。だから、このジャミラがどんな風に動き、どんな鳴き声を放つのか知らない。知らないから余計気になったのかもしれない。太くて長い腕をダラリと下げ、身体中に配線のようなものがのたうち、背中にはまるで機械のような突起物が並んでいる。なんだか宇宙服みたいだなと思っていたら、やっぱりそれがモチーフになっていた。オリジナルとは似ても似つかない。でも、このシルエットは間違いなくジャミラだ。
原型は大平裕太氏。自分は大平氏の原型を初めて組んだのだが、素晴らしいセンスが感じられた。S字型のボディライン、全体から漂う雰囲気、頭や胴体のつるんとした部分と手足の皴の対比など実に見事だと思う。ただ、そこは個人メーカーのガレージキット、無数の気泡や割れ、凹みなども多く、処理には相当の時間が掛かった。だが、それを差し引いても十分に楽しんで作る事が出来た。
映像を探したがとうとう見つからなかったので、手持ちの資料を引っ張り出して色を乗せた。ベースはグリーンとブラック。グリーンの方は皮膚っぽく、ブラックの方はメカニカルに見えるよう意識して塗り進めていく。使い込んだ宇宙服の感じが出るよう、ラッカー系で墨入れや汚しを行いながら、最後に全体的に統一感が出るように艶を消した。
このキットは電飾が出来るよう、足の裏から頭のてっぺんまでチューブが通してあるのだが、僕はどうにも電飾が苦手でこれは封印した。顔とおぼしき部分のガードの奥に、目が光っていないのはその為である。
これからウルトラガレキ界にもパワードの怪獣などが増えるのだろうか。そうなれば面白そうだ。その昔、ボークスにお邪魔した時、パワード怪獣の原型を幾つか見せて貰った事がある。あれもいつか世に出たら嬉しい。



全長 重量 材質 原型
290mm 995g ウレタン樹脂 大平 裕太