第4話 『3億年超獣出現!』より 怪魚超獣 ガラン 
 
エースの初期に現れる超獣はどれも好きだ。トゲやら角やらウロコやらがゴテゴテで、しかも色彩が赤あり青あり緑あり。まるで大阪のオネーチャンやオバチャンを思わせる。とても眩しい。このガランも緑色の体表に青い手と尻尾、腹からは6本の赤い角が突き出している。見事に大阪テイスト、初期ウルトラには皆無の存在である。さて、ヤプールは超獣を作り出す時、何かと何かを掛け合わせるのが常なのだが、このガランは3億年前の古代魚とあろう事か人間の執念という実体の無いもので生まれた。劇作家と言うよりマンガ家だと思うが、久里虫太郎が創作したガランという生物がその素である。久里という男、かなり気持ち悪い。学生時代よりTACの美川隊員に想いを寄せていたらしいのだが、ちょっとキビシイと言わざるを得ない。容貌と言うよりもハートがね……。飲み物に薬を入れて美川隊員を監禁、挙句、ミニスカート姿のままロープでぐるぐると縛る。子供心になんかいけないものを見ているような気がしたもんだ。これって脚本は先頃亡くなられた市川森一さんだったとは知らなかった。テイストから言うと実相寺さんが好みそうな感じがする。  
それはさておきガランの話をしよう。原型は今やGORTとして華々しい活躍を続ける杉本氏。Jr.サイズでありながらどこまでも緻密(腹の角には皺が刻まれていたり、ウロコが均一ではなく反り返っていたり)で、それでいて圧倒的な存在感で形作られている。写真で見ると小さく見えないのが何よりの証拠だ。杉本氏の技量は本当に素晴らしい。最も好きな原型師の一人である。
塗装のレシピはブログの方で書いたからここでは省くが、どんどん凄みが溢れていくガランを見ていると久し振りに気分が盛り上がった。アイテムチョイスに大いに救われた気がする。いつかこのガランも杉本氏の手で30cmサイズが出来ないものか。その時は怪我しないように手袋してしっかり手を保護しながら、大阪っぽさを存分に漂わせたガランに仕上げたい。




全高 重量 材質 原型
150mm 230g ウレタン樹脂 杉本 浩二