第1話  『光を継ぐもの』より  超古代竜 メルバ
NEW ULTRA―WORLD ULTRAMAN TIGA SERIES NO:003
 

「大地を揺るがす怪獣ゴルザと空を切り裂く怪獣メルバ」。地球に落下した隕石の中に収まっていたタイムカプセルのホログラム、ユザレと名乗るその女性の口から発せられた怪獣の名前。ゴルザはモンゴル平原から姿を現した。そしてメルバは―――、イースター島の山肌を破壊して出現、巨大な翼を広げて満月の夜空に飛び立って行った。







鳥型で有名なウルトラ怪獣と言えば、ペギラ、ドラコ、ガンダー、テロチルス、カメレキング、バードン辺りであろうか。二足や四足と比較すると数は圧倒的に少ない。理由は操演だと聞いた事がある。大きな着ぐるみを吊り上げて操るという事は、それだけ沢山の人手が掛かる。またスタジオの広さ、ホリゾントの高さも関係してくる。大空を自在に飛び回る大怪獣、ラドンやモスラ、キングギドラは映画だからこそ成し得た。だが、ティガのスタッフは1話目から鳥型の怪獣に果敢にアタックする。まるで復活の意気込みを知らしめるように。そして生まれたのがメルバだ。
メルバはかなり大きい。両翼を広げると相当のものだ。この巨体が実に効果的に飛ぶ。巨人像を破壊する時、ティガの背中を蹴りつける時、何よりティガというタイプチェンジをするニューヒーローの演出の為に。スカイタイプにチェンジしたティガに空中でキックを受けて落下、最後はランバルト光弾を受けて爆死………。実に見事な敵役を演じていた。そんなメルバの勇姿を残してやろうと意気込んで製作に入ったのだが、これまた実に手強いものだった………。羽は言うに及ばず、鎌のような両手と尻尾、手や膝や足に大きな爪が生えている。組み立て、パテ埋め、サフ吹き、ベースの塗装と慎重に進め、ようやく全体像が顕になった時、その問題は発覚した。
「ウソ………。足の向き、逆………?」
そうなのだ。僕はメルバの足を前後逆に取り付けていた。雑誌の写真を何度も見ていたにも関わらず、だ。「爪は前」という先入観からなんの疑いもなく足を逆に取り付けてしまっていた………。ウーッと唸りながら下塗りまでした足をへし折った時、こう思った。
「あぁ、昭和の怪獣と平成の怪獣はやっぱ違う………」

全高 重量 材質 原型
175mm 295g ウレタン樹脂 造形村