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海洋堂
GAMERA 1996
Chapter of 〜GAMERA1996〜
『ガメラ2 レギオン襲来』より 大怪獣 ガメラ
海洋堂 ゴジラドリーム Vol.44
平成ガメラ作品はどれも大好きだ。中でもこのパート2は傑作だと思っている。昭和後期から平成にかけてのゴジラ映画にほとんど興味を持てなくなった僕を、もう一度怪獣に引き戻してくれたのが本作だった。あぁ、誉め言葉は溢れるほど浮かんでくる。それでは紙面が埋まってしまうのでここでは割愛し、このキットにのみ限定したことを書こうと思う。発売元は海洋堂、レジン版とソフビ版の二種があるようだが、僕が手にしたのはレジン版の方だ。実はこのキット、いわゆるお手付きである。一度はどこかの誰かが制作したものだ。それを、プロジェクトメンバーのkazさんがオークションで手に入れ、塗装を剥がしてプレゼントしてくれた。kazさん曰く、「パオのマザーレギオンとの組み合わせは、サイズ的にこのキットがベストなんです」ということだった。確かにサイズは20cmほどと小ぶりである。だが、全体のバランスや筋肉や皺の造り込みからはそれをまったく感じさせない。本当に素晴らしい造型である。原型は怪獣原型師としてその名を知らぬ者はない酒井ゆうじ氏。実を言うと、これまで酒井さんのキットを制作したことがなかった。今回が初である。しかもお手付きキットで、ゴジラではなくガメラ……(苦笑) それでも酒井さんの凄みを端々まで堪能させていただいた。
制作は細部の調整から行った。あちこちにパーティングラインが残っていたり、パテや接着剤が張りついていたから、その部分を綺麗に均していく。型取りの際に発生したであろう気泡も目立っていたのでそれもちまちまと埋めた。こういう作業はまったく苦ではないし抵抗もない。おそらくkazさんが色を剥がしていない状態で送ってきたら、間違いなくその色を活かして塗装していたことだろう。古本や古着に慣れ親しんでいる人はお手付きキットも難なく愉しんで制作出来ると思う。
塗装に入る前、全体を一度ガイアノーツの黒サフで統一した。これは残ったパーティングラインやパテの修正状況などを見る為でもあるが、色が単色になることで仕上がりの行程が想像しやすくなる。幸運なことに平成ガメラの着ぐるみは、その昔、原口さんの工房やM1号の西村さんのところで直に拝見させてもらったことがある。随分と青いなと感じたものだ。ホビージャパンから出版された『ガメラ造型写真集』を見てもそのことが分かる。その青味を意識しつつ、自分なりの解釈でカッコいいガメラを目指す。最初に爪や牙、口内を塗る。ここもガメラの特徴の一つだと思うので、かなり時間をかけて入念に作業した。体色はジャーマングレーを筆頭に、青系や緑系を乗せている。アクセントに筆で赤褐色を乗せた。お腹の紋様は少し明るめのサンド系を使い、資料を眺めながら手描きした。甲羅はガメラの命、墨入れ、ドライブラシや汚しなども含め、何度となく手を入れている。最後の関門は緑色の目だ。こちらも資料とにらめっこしながら、位置とバランスに注意して、息を止めて描き込んだ。
ガメラ2の顔は凛々しく、それでいてどこか愛嬌を感じる。まるで猫のようだ。酒井さんが造ったこのキットはそれを余すところなく伝えている。手がけられて良かったと心から思う。kazさん、ありがとう!
全高
パーツ数
付属品
材質
205mm
13点
なし
ウレタン樹脂
原型師
酒井ゆうじ