2008/4/15 火曜日

『持て成す』

小森陽一日記 18:41:44

広辞苑によると「持て成す」の意味は、取り成す、振舞い、取り扱い、そして馳走とある。馳走とはもちろん「ごちそう」の事である。

さて、どうしてこういう事を書き出したかと言えば、最近つとに持て成したり持て成されたりする事が多いからである。自宅のある福岡と仕事先の東京、僕はその間を行ったり来たりする。僕に用がある人も当然行ったり来たりする。先週火曜日には週刊少年マガジンのSさんとTくん、金曜日には「252」の水田監督が来た。明けて月曜日には僕が東京へ。円谷プロで桜井さんや飯島監督、上原正三さんらとお会いし、その後小学館でビッグコミックに移動したKくんやスピリッツの新担当Tくん、そしてT編集長と話をした。福岡に東京組が来ると、打合せの後のご馳走はもちろん二次会の席も用意する。持て成しの心意気を見せる。東京で会うと先週会ったばかりでも「ようこそ」とか「わざわざ」と言われて持て成される。担当編集に聞くと、どうやら僕は他の作家さんに比べて大層しっかりと持て成されているらしい。

持て成す心は距離にも関係があるようだ。遠くからわざわざ出向いて来た相手だから持て成そうと自然に思う。これがいつでも会える相手だとそうはいかない。コーヒーとかラーメンでお終いという打合せも多々存在する。移動するのは確かに面倒な事もあるが、こんな美味しい得点も付くのだ。中々乙なものである。
ただこれが続いてくると胃がやられる。明日はまたプロデューサー2人がやって来る。当然、ご馳走だ。最近、太り気味、それに胃薬が手放せないでいる………。

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文と写真はまったく繋がりがありません。あしからず。

2008/4/8 火曜日

『桜』

小森陽一日記 17:32:47

花見はもう何年もした事がない。桜の下で弁当を広げて食べたり、夜桜を眺めながらお酒を飲んだり………。そういう愛で方をしなくなって随分経つ。だが、桜は好きだ。散歩の途中、買い物の途中、夜の飲み屋街へタクシーで移動中、気付けば桜の方をぼんやりと眺めている―――。
 
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………さて、桜にばかりかまけてもいられない。桜というと新年度、そう仕事だ。現在、様々な作品が同時進行で進んでいる。皆さんにご披露出来るのも近い。
 「まずは自分が楽しみながら―――」
 桜のように華やかな、そして、桜のように皆さんに愛されるような作品を目指したい。
 
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2008/4/1 火曜日

『春眠暁を覚えず』

小森陽一日記 20:06:13

春が来た。ここ数日、ポカポカ陽気が続いている。外を眺めているとフラリと散歩に出たくなる。ゴロリと横になってうつらうつらと惰眠を貪るのもいい。集中力も低下気味………。この時期は1年で最も一番原稿を書くスピードが落ちる。

動物にも春ボケがあるのかどうかは知らない―――。
先日より外構工事が始まっている。コンクリートを敷き、柵を付け、犬小屋を据える。マイを迎える準備が着々と進んでいる。そんなお昼にほど近い時、妻が庭先から僕を呼んだ。その顔付きから緊急を要するものではない。むしろ楽しいというかおかしいというか、妙な事が起こったんだろうと見て取れた。指をさす方向を見るとカラスがいる。ザクザクと土を掘る外構屋さんのすぐ隣で、逃げようともせず、目を白黒させてじっとしている。
「何、あれ………?」
妻に尋ねるとこれまた妙な答えが返って来た。「ドン」と何かがぶつかった音がして外に出て見ると、
「これが落ちて来たんですけど………」
外構屋さんがカラスを抱えて立っていた――――そうである。脳震盪を起こしたらしくしばらくは膝を折り、ぐったりして動かなかったそうだが、僕が見た時には飛びこそしないが立ち上がってしきりに辺りを見回していた。警戒心が強く頭のいいカラスが居眠り飛行で屋根だか壁だかにぶつかる………。まさしく春眠暁を覚えずである。

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最後は羽を広げて飛び立って行った。ご丁寧に捲きフンをして………。

追記
前回ブログに書いた競技会、昨日、訓練士さんから第3席の記念メダルを渡された。赤ん坊の時はなんにでも噛み付き大暴れしていたマイ。将来を悲観する事すらあったが、まさかこんなメダルを頂く事になるなんて思ってもみなかった……。

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2008/3/25 火曜日

『土砂降りの中、愛犬頑張る!!』

小森陽一日記 17:14:29

まさに土砂降りだった。真っ黒な黒雲が低く垂れ込め、バケツをひっくり返したような雨が降る。そんな最悪の天気の下で、訓練を重ねてきた我が愛犬マイのデビュー戦が行われた。

JKC(ジャパンケンネルクラブ)の九州ブロック競技会、マイはブロック訓練競技会に出場した。

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雨にも臆する事なく、訓練士のSさんと颯爽と日頃の成果を披露した―――筈である。筈………などと野暮ったい書き方なのは、その大事なデビュー戦をこの目で見る事が出来なかったから………。朝早くから準備し、北九州まで車を飛ばして午前中に会場に到着したにも関わらず、すでにマイの出番は終わっていた。(この雨で進行もテンヤワンヤだったそうだが………)会場でやった事と言えば、ケージの中で濡れネズミと化したマイとしばし戯れただけ………、なんだかぐったりして帰途についたのだった………。

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その夜、訓練士のSさんから電話が掛かってきた。
「マイ、頑張りました!3位です、表彰台です!」
50点満点で48.9点。デビュー戦の緊張、最悪のコンディションを跳ね除け見事入賞したのだった。僕は嬉しさの余りビールを開けまくり、友人に電話をしまくり、マイの素晴らしさを喋りまくった。
家族と離れて頑張ってきたマイ。よくやったね………。来月には犬小屋が完成する。たっぷり甘えさせてやろうと思う。

2008/3/18 火曜日

『江戸川由利子orフジアキコ、or………?』

小森陽一日記 17:01:34

昭和42年5月4日、子供の日に数時間足りないという微妙な誕生日である。さて、「ウルトラQ」の本放送は昭和41年1月2日、「ウルトラマン」が同年7月17日、どちらも生まれていない。影も形もまったくない。ウルトラファンを自認する僕にとって、この事実はずっとコンプレックスだった………。
「お前、色々知ったかぶりしてるけど、本放送でウルトラ観てないだろ。本放送と再放送じゃニュアンスが全然違うんだよ」
「………」
何度このフレーズを言われて黙り込んだ事か………。

昨日、円谷プロのM社長とKさん、そして桜井浩子さんが我が家に遊びに来られた。昨年秋から話をしていた福岡行きがようやく実現した形である。暮れに講談社から出したキット本、あの本は桜井さんの尽力がなければ世に出る事はなかった。念願適ってようやく直に我がコレクションを見てもらう事が出来た。あの由利ちゃん………、いや、フジ隊員に………、うーん………。そしてまたあのフレーズが頭を掠める。
「お前、色々知ったかぶりしてるけど、本放送でウルトラ観てないだろ。本放送と再放送じゃニュアンスが全然違うんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ………」
………そう、僕はどちらもリアルでは知らないのだ――――。

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Sプロデューサーや今度一緒に作品を作るTさん、Nくんと合流してワイワイ食事。だが、日頃口うるさいSプロデューサーが今日は視線を下げて物静かである。こうなる事ははっきり言って予想していた。彼はまさにリアル世代、「ウルトラQ」の本放送を見ていた世代なのである。そして今、目の前にホンモノの由利ちゃんがいる………。見ていて気の毒なほど固まっていた。でも、この感覚は僕にはない………。
『やっぱり再放送世代だからなのか………』
ある意味、Sプロデューサーの反応は羨ましくもあった………。

その後皆でファン○ァンに移動、店で待ち構えていたT先生や県警のTさん達に桜井さんはサインを送った。自慢気に見せびらかしに来るT先生、その時僕は愕然とした。色紙には江戸川由利子と書かれていたから………。そう、この場でサインを貰った人達は皆、本放送世代なのだ。
「桜井さんと言えば由利ちゃんだよ!」「そうだそうだ!」「君はわからんだろう!」
大声ではしゃぐオジサン達。T先生の金切り声が今夜は一段と耳に木霊する………。

しかし―――、
桜井さんが僕にくれた色紙にはハートマークが描かれていた。ハートマークである。今日を限りにひがむのはやめようと思う。

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