2008/11/4 火曜日

『葉巻にハマる』

小森陽一日記 17:05:34

ある夏の夜、O編集長連れて行かれた赤坂のバー、僕はそこで生まれて初めて葉巻を吸った。苦いような甘いような辛いような、なんとも言えないブレンドされた味が口の中に広がる。その瞬間、癖になった―――。

煙草は4年前にきっぱりと止めた。一日多いときで一箱吸っていた。だが、過労で倒れた時、何か一つくらい身体にいい事をしようと考え、煙草を止めた。以来、ただの一本たりとも吸ってはいない。

僕の周りで葉巻やパイプを吸う人は数人いる。義理父はパイプだ。訪ねて行くと、時々甘い香りが部屋中にもあもあっと漂っている。バニラのような時もあるし、バナナやチョコレートみたいな香りの時もある。友人の能楽師Tさんはパイプと葉巻両方だ。実に優雅に楽しそうに喫煙を楽しんでいる。だが、そうした環境の中でも不思議と葉巻やパイプが吸いたいと思う事はなかった。

ではなぜ葉巻にハマったのか?思い当たる理由は幾つかある。一つは煙草と違って肺に入れない事。煙草を止めた身にとって、これは結構大きな理由を占める(言い訳ね)。二つ目は本数が増えない事。ピンキリだが葉巻は煙草と違って高い。特に「プレミアムシガー」と呼ばれるタイプは一本で何千円もする。三つ目は売っているお店が限られている事。自動販売機やコンビニで手軽に入らないから、パカパカ吸わない。じっくりしっとり味わって吸う。まとめると、最低限健康に気を使いつつ、高くて売っている場所も少ないから、本数がかさばらない。そういう事になる。更に付け加えるならもう一つ、葉巻ってなんとなく作家っぽいアイテムな気がして………。そんな所もハマった理由の一つかもしれない。

夜、自宅の庭で月を見上げながら葉巻をふかす。心地よい時間だ………。でも待てよ、これって遠目には昔と変らない蛍族に見えやしませんか?

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再びお知らせを一つ!
次号11日売りのイブニングにて、もう一人の盟友久保ミツロウの新連載がスタートします。タイトルは「モテキ」。人生のどこかで訪れるというモテ期に入った男が織り成すラブな物語。きっと小ネタ満載、可愛い娘満載、ハートをくすぐられる事間違いなしの久保節全開です!皆さん、お楽しみに。僕も楽しみです!!

2008/10/28 火曜日

『園遊会』 

小森陽一日記 16:58:06

この日東京はあいにくの空、赤坂御苑のお池にもポツポツと雨の波紋が広がっておりました。

スーツはほとんど着ません。ネクタイなんて結婚式でもするかどうかです。革靴も履きなれていないから、歩き難いのなんの………。そんな自分が滅多にしない格好をして出かけました。園遊会………、さすがに今回ばかりはいつもと同じ格好と言う訳にはいきません。

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木々に囲まれた庭園ではどこからか雅楽が聞こえていました。その向こうには赤坂プリンスやニューオータニなど背の高いビルが見えます。まさに異空間でした。お池の周りをゆっくりと散策し、やがて陛下や皇后様、宮家の方々が通られる道すがらに立ってお待ちします。僕は知らずに政治家さん達の多く陣取っている一角に立ってしまいました。気付いた時にはもうほとんど歩いている人もおらず、「仕方ないや」と心を決めて、さも当然というようにその場に立っておりました。

陛下を先頭にゆっくりゆっくりと宮家の方々が歩いていかれます。玉砂利を踏みしめる音が辺りに静かに響きわたりました―――。

ほんとうに不思議な時間でした………。

2008/10/21 火曜日

『キットの秋』

小森陽一日記 16:58:42

雨降らず、湿度上がらず、いと涼し――――。
秋………。読書の秋、食欲の秋、スポーツの秋。しかし僕にとっての秋は、ずばりキットの秋である。

ここ数ヶ月、仮組みする事はあっても塗装までには至らなかった。もちろん忙しかったのもあるが、暑いのと、雨が多いのと、何より気持ちが向わなかったのが最大の理由だ。しかしここに来て製作意欲は全開、1週間で一気に3体も仕上げてしまった。この狂おしい熱情はもはや誰にも(プロデューサーにも編集者にも奥さんにも………)止められるものではないっ!!
原稿を書き終えていそいそと黄色いエプロンを着け、木漏れ日の注ぐ製作台へと向う。キットの目や爪にマスキングしながら、頭の中でベースの色をあれやこれやとイメージする。時には本を広げたりDVDを眺めたり………。そうして決めた色を取り出し、エアブラシで吹き付けて行く。やがて部屋中にほんのりとシンナーの香りが漂いだす。その頃にはもう鼻唄でも唄いそうな気分で作業は進んで行くのだ。

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怪獣無法地帯さんの「サイゴ」、忠犬ハチ公のようにお座りポーズで実に可愛い。しかし色合いでは随分悩まされた。着ぐるみの身体と顔の素材が違うのか、写真を見ると色の乗り方やツヤも違う。パープルを効果的に使おうと四苦八苦したのがいい思い出である。
ボークスのJr.ウルトラワールド「イカルス星人TYPEⅡ」、劇中の不思議ちゃんポーズの立体化である。ベースに特製の青味を効かせたのだが、悦に入って少々効かせ過ぎたかもしれない。前に塗った「TYPEⅠ」を見ると、同じ奴が塗ったとはとても思えないくらい違う………。
同じくボークスのJr.ウルトラワールド「ゴメスTYPEⅡ」、尻尾を振り上げ威風堂々の立ち姿なのだが、塗装は滅法苦労した。何度やっても体色の緑色がしっくりこない。それで判明した。緑色の塗装、実はとても苦手かもしれない………。
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――――まぁこの辺の事は後々キット解説の方に詳しく触れる事にして………、それにしても今回のブログは分からん人には何の事やらさっぱり分からんだろうなぁ。サイゴに引っ掛け、最後にお知らせを一つ。
「我が名は海師」で苦楽を供にした盟友武村勇治くんの新作が、いよいよ来月14日売りの「コミックバンチ」にて連載スタートです。
「義風堂々 直江兼続 -前田慶次 月語り」
あの、「花の慶次」のスピンオフ作品で、来年の大河ドラマの主人公でもある上杉家の名将、直江兼続が主人公の物語。原作を原哲夫さん自らが手掛けられる事も僕としては見逃せない。ちなみに武ちゃんから送られてきた兼続のイラスト、素晴らしく憂いがあった。武ちゃん、頑張れ!皆さん、どうぞ宜しく!!
………そうそう、「252」の主人公、篠原祐司の名前、字は違うけど武ちゃんの名前から取ったんだよ。あれ、言ってなかったっけ?

2008/10/14 火曜日

『トッキュー&コモリ&ハイパー』

小森陽一日記 17:04:14

先週8日、東京ビッグサイトにて開催された「危機管理産業展2008」、その一環として行われた『レスキュー最前線・海と陸の危機管理』というトークショーに出演して参りました。トッキューとハイパーが一同に介するなんて前代未聞だとの事、その貴重な現場に僕は立ち会った訳です。お互いの隊員が天井からロープで降下、日頃の技を存分に披露してくれました。客席に向って整列したオレンジ軍団、フラッシュが物凄かった。

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さて僕です。人前に出て喋るのが照れ臭いからある意味物書きになったというのに、最近色んな出演依頼が多くて………。じゃあ断ればいいじゃないかと言われるかもしれないですが、依頼というものは断れないようなところから根回しされて来るものです。今回だってお世話になってる海上保安庁と東京消防庁から言われたんであれば一たまりもありません。断るという選択肢はそもそもあり得ません………。後はいかに出番を短く目立たないようにするか、心を砕く論点はそこに移る訳です。

とは言え今回のトークショー、ここ最近ではブッチギリに張り切って頑張りましたよ。後から「舞台の上で取材されてましたね」なんて笑われましたし。お客さんからの質問で「252」の話題になった時なんか、自分の携帯電話にくっ付けている「しおりちゃん笛」を会場で高らかに鳴らしましたからね。しかも「この笛は前売り券を買えば手に入ります!」なんて声張り上げて………。関係者の皆さん、やりたい放題ですみませんでした………。もういいや、僕は済んだ事は振り返らない主義だし、もう忘れよう。はい、忘れました。

追記
この日の夜、「252 エピソードゼロ」の現場に顔を出しました。オペラ歌手のようによく通る水田監督の声が、消防学校の構内にビリビリと響き渡っておりました。
スタッフ、キャストとも相当気合が入っております。このスペシャルドラマもグッとくるものになりそうです。放送は公開前日の12月5日、金曜特別ロードショーにて夜9時より。どうぞご期待下さい。

2008/10/7 火曜日

『お手並み拝見 その三』

小森陽一日記 17:12:55

またまたやって参りました、このコーナー。すっかり月頭の恒例と化して(化させて)おりますが………。ドドンといってみましょう!

『デトロイト・メタル・シティー』李闘士男監督 大森美香脚本 若杉公徳原作
マッシュルームカットの根岸くんと全身デスメタルのクラウザーさん。予告編で観た時、「これは絶対見逃せないっ!」と心に誓った。松山くんの変貌振り、最高に笑わせてくれます!!特にトイレで唄うシーン、死ぬほど笑えた………。

『ジャンパー』ダグ・リーマン監督 テビッド・ゴイヤー他脚本
最近この手のハリウッド映画を観て思うのだが、一球入魂じゃなく一作入魂が出来ていない!謎は次回に持ち越しです、そんな作風が目立ち過ぎる。この作品もそう、なんの解決もなく終わる。ダメだよ、「アイディアもうありません」っていうくらい詰め込んで、もっとちゃんと全力で作らなきゃ………。 

『おくりびと』滝田洋二郎監督 小山薫堂脚本
滝田監督の作品は結構観てます。中でも「壬生義士伝」、浅田さんの原作もよかったけど、映画も好きだったなぁ。そしてこの「おくりびと」、とても清々しい味わいのある作品でした。とにかくモックンが抜群にいい。モントリオール映画グランプリ受賞、おめでとうございます!!

『ハンコック』ピーター・バーグ監督 ヴィンセント・ノー他脚本
ウィル・スミス好きだし、スーパーヒーローものも好きなので押さえに行きました。
酔いどれでデストロイヤー(破壊者)のスーパーヒーロー、設定は大好き、でも『ジャンパー』でも書いた通り、やっぱり半端で幕を閉じる。実にもったいない………。

『クローバー・フィールド』マット・リーヴス監督 ドリュー・ゴダード脚本
酔う酔うって聞いてたから劇場で観るのは敬遠してたけど………、ちょっともったいなかった。観とけばよかった………。ゾクゾクドキドキする怪獣映画、いやアメリカ映画は久し振り、ほんとに見入ってしまった。それにしてもこの臨場感、よくぞ計算でやれたものだと感心してしまう。

『フライングラビッツ』瀬々敬久監督 山名宏和脚本 深田祐介原作
JALラビッツ、実際にある日本航空の客室乗務員さん達のバスケットボール部を舞台にした作品。笑いあり涙ありのてんこ盛り、最後まで気持ちよーく観れる。「ラーメンとチャーハン、どっちも食べていいじゃない!」ほんと、その通り。その気持ちにめちゃくちゃシンクロしました。石原さとみさんと真木よう子さん、いいです。

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