2009/10/20 火曜日

『秋の香りは』

小森陽一日記 10:52:09

10月の半ば、窓を開けると庭先から芳しい香りが流れ込んで来る。今年も橙色の花を沢山付けた金木犀が満開となった。

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金木犀(キンモクセイ)
モクセイ科モクセイ属の常緑小高木樹でギンモクセイの変種。中国南部が原産で江戸時代に渡来した。秋になると小さいオレンジ色の花を無数に咲かせ、芳香を放つ。
―――Wikipedia

金木犀はあっという間に咲いてあっという間に枯れる。その間、濃厚な香りを放って自己主張する。この匂いをキライだと言う人もいるが、僕は秋の匂いとして気に入っている。なんとも甘く芳しい匂い、これがまたいい感じでもうひとつの強烈な匂いを消してくれるのだ………。

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キット作りを趣味とする人が一番周りに気を使うのは、騒音でも埃でもなく匂い、シンナーだと思う。鼻と目を付く過激な刺激臭、マジで危険な香り、脳みそや歯を溶かすというウワサもある………。だが完成させる為にシンナーは避けて通れない。窓を閉め切るとこっちが危ない、かといって開けっ放すと家族からブーブー文句が出る。しかし金木犀が満開となるこの僅かな期間だけは、その苦情がピタリと止む。シンナーの匂いを金木犀の芳香が包み隠してくれるのだ。
「あぁありがたや、金木犀………」
そう庭に向かって感謝しながら、秋の夜長、限られた時間を惜しみつつせっせとキット作りに励むのだった――。

2009/10/13 火曜日

『今週の秋』

小森陽一日記 15:53:41

まずは旅の秋。月曜日から3泊4日の予定で上京した。新作の打ち合わせと「S」の新展開打ち合わせ、それからキャイ~ン天野くんとの対談などなど、そして先頃シナリオ集を出された上原さんとの会食も今回のお楽しみの一つだった。が………、台風18号が北上、8日には関東直撃との予報。8日の午後には福岡に戻っていなければならない用事があったので、泣く泣く上原さんとお会いするのをキャンセルして、7日中に戻る事に………。ああ、秋台風………、恨めしい………。

戻ってからは新作の原稿に力を注ぐ。主人公の性格付け、出来事によって主人公の心に起こるエモーション、周りの人々の反応、そして一大決心―――。(原作ってこんな感じで書いてますよ、天野くん!)………とまぁこれを芸術の秋としておきましょうか。
そんな中、空いた時間でキットを組み立て、そして一気に塗装まで。ウルトラマンタロウを完成させる。趣味に打ち込むのもまた乙なもの。秋はホビーにもいい季節なのだ。

日曜日は地域の運動会。奥さんが今年体育委員をしている為、問答無用での参加となった。早朝からお父さん方とテントを組み立て、むかで競争やらラブラブショー(男女ペアの障害物競走)やら綱引きやらに出場、もちろん頑張りました。爽やかな秋晴れの下で埃まみれに………。これぞスポーツの秋。

今週もいろんな秋をやった。そして次第に季節は深まり、冬へと入って行くのだった………(センチメンタルな秋)。

追記
コッキン隊、無事に帰国。警視庁のYさんから電話を頂いた。とても元気そうな声、安心しつつ労いの言葉を掛けた。またまた様々なネタ話があるようで………。近々ゆっくりと話を聞かせてもらおうと思う。何にしてもコッキン隊の皆さん、本当にご苦労様でした!!

2009/10/6 火曜日

『コッキン隊、スマトラへ』

小森陽一日記 10:46:31

そこでは滅多に経験しないような大地震が度々起こる………。

今回もそうだった。先月29日、サモア諸島付近で発生したM8.3の大地震、それから一日後、今度はインドネシア西部、スマトラ島沖でM7.6の大地震が起きた。スマトラと言えば2004年12月26日、M9.3が発生、大津波で20万人以上の人々が犠牲になった。2006年5月27日にはジャワ島中部でM6.3が発生、この時も数千とも数万とも言われる犠牲者が出た。

今回のニュースを見た時、予感はした。そして現実に一報が入り出す。
「国際緊急援助隊の一員として、今夜、チャーター機でスマトラに向かいます」
海保からも消防からも警察からも………、沢山の知り合いから電話やメールが続々と届いた。警視庁のY氏からは「警備犬も連れて行きます」との事、首輪を変える事によって、災害救助(レスキュー)と警備活動(テロ制圧)という相反する任務をこなす優れた犬達だ。以前、海保のトッキューで活躍していた友人がコッキン隊として派遣された時、この警備犬に随分癒されたと言っていた。

命のタイムリミットと言われる72時間、それを経過すると生存率は急激に落ちる。だからコッキン隊は、その間、文字通り不眠不休で捜索を続ける。疲れと空腹、埃と腐敗臭で食事も喉を通らず、幻覚を見る事だってあると言う………。そんな過酷な状況のもと、彼等と共に働き、時にはじゃれて頬を舐めてくる警備犬という存在、生存者を探すと同時にレスキューマンの疲れ切った心を癒す大切な存在であり、同志でもある、そんな風に例えていた―――。

連日、現地からコッキン隊が活動している様子がニュースで流れて来る。想像を絶する被害を目の当たりにしながら、この瞬間も懸命に救助活動を行なっているコッキン隊。そんなコッキン隊に僕は何も出来ない。出来ないが、せめて彼等の事を常に想い、彼等の無事な帰りを祈ろうと思う。

「助けを待っている人がいるなら、レスキューは国も言葉も関係ない。
 どんな時でもどんな人でも、すぐに助けてやれ」

                   ――――「トッキュー!!」20巻
この言葉通りの事を実行しているレスキューマン達、皆さんも心のどこかで彼等の事を想い、無事な帰りを祈ってあげて下さい。

2009/9/29 火曜日

『お手並み拝見 その六』

小森陽一日記 10:11:51

蒸し暑かった夏が去り、一番好きな秋がやって参りました。芸術するも由、食べるのも由、本を読むのも身体を動かすのも由、2009の秋をたっぷりと満喫いたしましょう。という事で映画の秋、勝手に恒例映画談義スタート!

『ウォンテッド』ティムール・ベクマンベトフ監督 マイケル・ブラント他脚本
いいですね、アンジー。あの唇とあの瞳はもはや芸術品です。さて作品はというと、冴えないサラリーマンがある日突然闇の暗殺者にスカウトされ、徹底的にしごかれて弾丸をカーブさせる技を身につけ、色々と活動していく内に驚愕の事実を知ってしまう―――というもの。面白いけれどオチに関しては賛否あるのかな。僕は「へ?」という感じでした。

『サマーウォーズ』 細田 守監督 奥寺 佐渡子脚本 
「時かけ」コンビの待ちに待った最新作です。「宜しくお願いしま―――す!」と主人公が鼻血を出しながら叫ぶCMを見た途端、僕同様娘もツボに入っておりました。
物語にはビックリです。よくまぁこんな発想できるなぁと感心しました。CGも凄いし。しかし僕自身は前作の方が好みでした。あの衝撃は多分一生忘れないと思う。

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』デイビッド・イェーツ監督 J.K.ローリング原作 
前作、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」もそうだったんですが、次第に娯楽色が薄れ、重たい雰囲気作りが先行している感じがします。物語も詰め込みすぎで、原作を読んでいないとよく分かりません。佳境に入っていく重要な部分だからこそ、シンプルに、かつ大胆に攻めていって欲しいと思います。ハリーは好きなので次回に期待します!

『カムイ外伝』 崔 洋一監督 宮藤 官九郎脚本
松山くんがカムイ、英明くんが不動、脚本は官九郎さん、あの白土先生の世界をどこまで現実化出来るか?物凄く楽しみにしておりました。撮影中のゴタゴタや幾多の中断がありながらも完成したこの作品、本当におめでとうございます。………ただ、映画はちょっともったいなかった。役者さんの頑張りを作品が受け止めきれていない感じがしました。カムイの気持ち、スガルの気持ち、不動の気持ち、やはりこの世界観は原作、特にカムイ伝を読まないと分からないだろうなぁ。大学時代、1週間、まさに没頭してカムイ伝を読んだ。映画を深く知る為にも、未読の方は是非この秋にチャレンジして見て下さい。

今回はちょっと辛口になりました………。作品が好き、監督が好き、脚本が好き、役者さんが好きだからこそ厳しくなった部分もあります。因果応報、言った事は必ず自分に返って来ます。僕も懸命に作品作りに精進したいと思います。

最後に―――、
実りの秋をお届けして、お米の話を幕にしたいと思います。

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2009/9/24 木曜日

『悪夢、再び………』

小森陽一日記 14:51:09

仕事の疲れと慢性的な運動不足、それに加えて飲酒、喫煙………、これじゃ身体が弱るのも無理はない。

数週間前から胃腸に違和感を感じていた。中々食べ物を消化してくれないような、いつまでもそこに詰まっているような重さがある。ここ数日、それがひどくなったので、薬局から薬を買ってきた。これがいけなかった………。

僕は薬をむやみに飲まない。いや、飲めないと言った方が正しい。数年前、体調不良で風邪気味だった時、なんの気なしに飲んだ市販の風邪薬が身体を治すどころか逆に作用した。全身にアナフィラキシーの症状が出たのだ。猛烈な赤味と凹凸と痒みが広がり、病院へ行くと直ちに入院となった。薬疹だった――――。

それまでの人生で一度も蕁麻疹など出た事もなかったが、これを境に体質が変化してしまった。数年経って随分症状は治まったものの、やはり完治には至らず。時折思い出したように赤い斑点が出る。ただ、喉元過ぎれば熱さ忘れるの諺通り、次第にあの辛かった記憶は薄らぎ、再び不摂生が目立つようになっていた………。

今度は市販の胃薬でショック症状が出た。あの忌まわしい日々を呼び起こすのに十分な赤味と痒みだった。

ただ………幸い昔よりも症状が軽かった。五日間、点滴を受け、毎日きちんと薬を飲み、ようやく症状は治まりを見せている。

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酒も煙草もない生活が今日で1週間目、身体が心持ち軽くなったような気がする。律する事の大切さ、健康を損ねると我が身に染みる………。

いい機会だ。居住いを正してまた仕事に向かおうと思う。残り三ヵ月半、今年の再スタートとなればいい。

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