2010/3/9 火曜日

『ワンパラ』

小森陽一日記 15:58:00

今年もJKCの訓練競技会が行われた。先週上京した時もそうだったんだが、汗ばむくらい暖かくなったかと思えば、マフラーにコートでフル装備が必要なくらい寒くなったりする。それが一日おきに訪れるから堪らない………。しかして開催日の天気は生憎の底、冷たい北風がビュービュー吹きつけるそりゃもう震えるような一日だった………。

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右を見ても左を見てもグラウンドには犬、犬、犬………。自慢の愛犬達が一同に介し、あちこちで飼い主同士の犬談義が咲き乱れ、駐車場に停まった車の隅やテントの陰にはビニール袋に包まれたウンが、これまたほかほかと狂い咲きしている始末。 
競技会に行って毎回思うのは、「犬好きな人ってこんなに沢山いるんだ………」と言う事。老いも若きも性別も関係なく、話し掛けたり撫でたり触ったり、泥んこの足でジャケットやジャンパーに判子を押されても、ヨダレやら抜け毛やらをマフラーに付けられても怒る人はいない。まさにワンワンパラダイスだ。

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出発時間の若干の遅れと、カーナビの誘導ミスと、悪天候による競技の迅速化の為、なんと愛犬マイの本番には間に合わなかった………。代わりに応援したのは、マイと一緒にずっと訓練を行っているパピヨンのアロンくんだ。S訓練士の動作を食い入るように見つめて歩いたり座ったり跳ねたり、そりゃもう頑張っていた。アロンくん、お疲れ様でした。

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マイは全10科目中7科目まではパーフェクトだった、らしい。しかし、絶好調の時には大ポカもする。そのポカが出て表彰台には届かなかった………。ただ総合点数は高く、沢山ポイントも頂いたという事だ。

訓練となるとほんとに目の色変えて喜ぶマイ。遊びの途中に訓練を混ぜると見違えるほど機敏な動きを見せる。あのキレの良さは見ていてこっちも気持ちがいい。これからもマイの好きな事を支えてやろうと思う。

2010/3/2 火曜日

『死の装飾』

小森陽一日記 15:33:22

週末、2つの催し物に出掛けた。図らずも、どちらも「死」を扱ったものだった。誰でも生まれたら必ず死ぬ。凡人だろが偉人だろうが貧乏人だろうが王様だろうが。死………、自分にはどんな死が訪れるのだろう?死んだ後はどうなるんだろう?様々な死のイメージ、時を越え、人種を越えて表された2つの死の装飾に惹き付けられた―――。

一つは「トリノ・エジプト展」、薄暗い館内に古代エジプトの彫像がズラリと並んでいる。それは王の坐像であったり、時を刻んだステラ(石碑)であったり、色とりどりの図柄が施された棺であったり………。中でも古代エジプト特有の美しい棺には心奪われるものがある。再生と復活―――、古代エジプト人が信じていたオシリス信仰、その事を信じて墓が作られ、遺体はミイラにされた。死は眩しいほどに飾られ、次なる生を待つ。終わりではなく永遠に輪廻していくというイメージ………。途端に死が怖くなくなっていく。これは凄い事だと思う。

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もう一つは「コルテオ」、楽しみに待っていた甲斐があった。これまでシルク・ドゥ・ソレイユの作品を3本観劇したが、オープニングから一気に心奪われたのはこの「コルテオ」だった。
クラウンはベッドに横たわり、自分の葬儀を思い描く。楽団の音楽が鳴り響き、頭上から天使達が舞い降り、様々な参列者がクラウンに話し掛け、時にはベッドを踏み越え通り過ぎて行く。華やかなで賑やかなパレード、死を悼むという葬儀の場がどこかお祭り騒ぎじみて、猥雑で奇妙な心くすぐられる世界になっていく………。

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死を飾る―――。人であるから、生きているからこそ、人は死を飾る事にしたのかもしれない。自分が死んだ時、寂しくないように………。僕はどうしよう、すべての怪獣キットを連れて兵馬俑みたく賑やかにやろうかな。何千年も経って僕が土の中から見つかった時、怪獣キットに囲まれているのを見たら、その時の人はなんと思うだろう?シシシ………これは中々面白そうだ。

2010/2/23 火曜日

『竹馬の友』

小森陽一日記 14:12:49

同級生と酒を飲むのはどこか気恥ずかしい。それが大暴れをしていた高校の同級生ともなると尚更だ。「あの頃お前はこんな事をした」、「こんな事を言った」、「こんな風だった」………、こっちはそのほとんど覚えていないのに周りはしっかり覚えている。まったく堪らない………。

以前にも書いた事があるかもしれないが、未だ同窓会なるものに出席した事がない。40歳を越えたら出ると言ってはいたものの、自分のやらかした事が多過ぎて目眩がしそうなのと、色んな奴の事をさっぱり忘れてるのと、やっぱりなんだか照れ臭い。「おぅ、久し振り」って言うのがなんとも気恥ずかしいのだ。

先日会った友は2人、1人は様々な企業のコンサルタントをしたり、大学の客員教授をしたりと全国のみならず世界を飛び回っているM、高校の頃はスマートだったが、今はどっからどう見ても社長としか考えられない恰幅の良さである。もう1人は公人だし名前を出しても叱られないと思うが、松尾剛と言う。NHKのアナウンサーだ。数年前は「おはよう日本」のメインキャスター、今は福岡放送局に転勤して夕方の番組を担当している。剛がアナウンサーをやっていると知った時は本気で仰天した。高校時代、そんな希望を持っているなんて聞いた事がなかった。(もっともアナウンサーになったのは成り行きだったそうだが………)

「俺は緊張しいの人見知り」
そう本人は言う。しかし、我が家に初めて遊びに来て、なんの遠慮もせずに居間に座り、堂々とラーメンを啜っている姿からは緊張や人見知りのカケラも感じられなかった。ちなみにMの方は、我が家に来て寝ている僕を待つ間、朝っぱらから焼肉を食わされた事があるそうだ。お袋はえてしてそういう事をする。

久し振り再会は楽しい反面やはり気恥ずかしかった。抜群の記憶力を誇るMの想い出話しに冷や汗を掻きながら大いに飲んだ。そして最後に剛とこんな約束をした。
「剛、いつか紅白歌合戦の司会しろよ!」
「そん時は陽一、審査員で出てくれる?」
「おう、もちろん!」
未来に向かってのこういうバカな約束は大好きだ。何年掛かるか分からないが、いつか実現させようと思う。そん時はまた大いにバカ言って笑いたい。

2010/2/16 火曜日

『冬季五輪、開幕』

小森陽一日記 11:52:04

第21回冬季五輪バンクーバー大会が2月12日に開幕した。82の国と地域が参加し、約2600選手が17日間の中で激闘を繰り広げる。
  
五輪は好きだ。文句なしにワクワクする。普段見ないような種目を無我夢中で見て、よく知らない日本の選手に声援を送り、勝った負けたで一喜一憂する。この高揚は五輪だけだ。やっぱり4年に一度がそうさせるのかな。
  
そういやスクラップブックなんかも作った。久し振りに棚から引っ張り出して眺めてみる。黄ばんだ新聞記事の向こう、ちっとも色褪せないあの時の熱狂と興奮が甦って来る。

冬季五輪の想い出と言うと、1984年のサラエボ、そして1988年のカルガリーが真っ先に挙がる。銀盤の女王、カタリナ・ヴィットが2大会連続の金メダルを獲得した。黒と赤の衣装を身に纏って華麗に舞うヴィットに、田舎のニキビ面少年は一発でノックアウトされた………。下敷きには雑誌から切り抜いたヴィットの写真を入れ、授業中ぼんやりと眺めていたものだ。

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人間とはこうまで輝くものなのか――――。五輪を見ていると、そう感じる事がある。4年に一度というその瞬間に、アスリートの技と思いが爆発する。あの輝きはなんだ?まさに発光している。圧倒的だ。

北島康介選手にお会いした時気後れした。話しをし、一緒に写真を撮ったのだが、僕の顔は引き攣っていた。自分がこんな風になるのはあまり経験した事がないので、自分自身、ちょっと面白かった。北島選手の放った北京五輪での圧倒的な発光が、僕の五体に刻まれていたからなんだと思う。 

バンクーバーもきっと、沢山の選手が発光するに違いない。17日間、少しでも多くその光を感じようと思う。あの輝きは間違いなく最高の栄養だ。

頑張れ、ニッポン!!

2010/2/10 水曜日

『宿願、適う』

小森陽一日記 15:07:15

ついにこの日がやって来た。願いが適う時が来た。これまで何度裏切られ切ない想いをして来た事か………。滅多にない仕事上のハプニング、子供の病気、飛行機の欠航………、ほんとに予期せぬ出来事が次々と起こった。誰かが嫌がらせしてるとしか思えなかったほどだ。でもついに宿願は適った。「ワンダーフェスティバル2010」、行って参りました!!

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いやぁ、会場デカかった。人、多かった。♂率、以上に高かった。中でもコスプレしているオネェちゃんの周りには物凄い熱気が漂っていた………。国内最大のフィギュア、ガレージキットフェスティバルともなればこんな感じか。しかし僕は脇目も振らずまっしぐらに目指した。新作を引っ提げた怪獣GKディーラーさんの居場所へ――――。

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「テロチルス」、「ガブラ」、「モングラー」、「ピグモン」、「チャンドラー」etc………、新作を貪るように買い捲り。この日の為に持参した軍資金を惜しげもなくはたいた。当然である。これ買う為に働いてたりするんだもーん! 

だが、それ以上に素晴らしい収穫だったのは、普段メールのやり取りだけで実際にお会いした事がない原型師の方々に直接会って話が出来た事。これは本当に嬉しかった………。先方からもとても喜んで貰えて、すこぶるテンションが上がりました、ハイ。

キットを組む時、これからはその人の表情や人柄を思い浮かべる事が出来る。あぁ、ますますのめり込みそうだ………。

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