2013/2/26 火曜日

『青空の下で』

小森陽一日記 11:11:16

秘密会議が終って数日後、東京へと向かった。「S」とはまた別の仕事。売れっ子は休むヒマなど無いのだ(誰も言ってくれないから自分で言う)。
ジェット機の窓から見える空は晴天、どこまでも青い。羽田空港に到着後、バスでターミナルへと移動。その前に写真をパチリ。この日はPM2.5の事など忘れてしまいそうになるくらい空が澄んでいた。

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打ち合わせやら顔合わせやらをして、翌日早くから茨城に移動する。航空自衛隊百里基地。こう言っちゃなんだが、物凄く田舎のだだっ広いところにあった。天気はすこぶる良く陽射しは温かいのだが、空気が冷たくて身震いする。その日の朝はマイナス6℃まで冷え込んだそうだ。ふと、F15で空高く舞い上がった時の事を思い出す。あの時も直射日光は熱く、コクピット内の空気はとても冷たかった。

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施設や機材の見学、そして空自の皆さんとの会話。やはり楽しい。聞いても聞いても新たに知らない事が出て来て戸惑う事もしょっちゅうだが、一つ一つ丁寧に答えて貰える。それがまた嬉しい。全国にある航空基地は百里で四ヶ所目だ。スタンプラリーでもしておけばよかったと今更ながら思う。

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百里から戻ったその夜、大学の先輩と夕食を共にした。時任三郎氏。僕にとっては「仙崎、上がって来――い!」の下川であり、「犬屋の意地、見せるぞ!」の向井でもある。二人で食事をするのは初めてだったが、気が付けば5時間近く話し込んだ。まさにアッと言う間だ。先輩、また近々色んな妄想話で盛り上がりましょう。

最終日、素晴らしい出会いをした。空自OBであり、まさに空自の歴史そのものである人。これまで僕はパイロットというカテゴリーの中でしか空自を見ていなかった。しかし、この人のお話を伺ってそれがドンと一気に拡張した。もちろんご本人もかつてパイロットをされていたのだが、それだけのキャリアじゃない。思いもよらなかった出来事、想像もしなかった言葉を沢山いただいた。この出会いをセッティングしてくれたHさん、そして皆さんに本当に感謝したい。

さて、いよいよ「天神」を皆さんにご披露する時が近付いてきた。空自のファイターパイロットがどのようにして生まれるのか。彼らはどんな連中でどんな事を思い、どうしてマッハという音速を超える機体で空を飛ぼうと思ったのか。二人の若者を通して空自の「今」を切り取った。直球ド真ん中の青春物語である。3月19日の発売をどうかお楽しみに!

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