『暑っつう………』
今年の夏はいつもにも増して凄まじい………。皆さん、夏バテしてませんか?
連日、ニュースやワイドショーで取り上げられているこの気温、関東では40度を越える日が続いている。40度………、そんな熱が出たらどれほど苦しいか。体温より高い気温の中でお過ごしの方は本当に気の毒だと思う。どうかこまめに水分補給して、熱中症にだけは気をつけて下さい。
子供の頃を思い出してみる。確かに夏は暑かったけれど、朝夕は窓を開け放して涼んでいられた。扇風機を回して床に寝転んで本を読んでいると、何時の間にか眠ってしまったなんて事は何度もある。お盆を過ぎれば秋の虫が鳴き、時折冷たい風が吹いたものだ。だが今は―――、今は朝夕でも気温が下がらない。扇風機を回しても来るのは熱風………、そんな風で心地よく眠れる筈もない。
先日、アル・ゴア氏の「不都合な真実」を読んだ。多角的な見地から地球温暖化の実証がなされている。氷河は溶け、北極も溶け、海水温の上昇でハリケーンの数も勢力も格段に伸びている。環境破壊の代償は、このまま放っておくと取り返しのつかないほど大きなものになる………。
昨今、日本の気候も急速に変わりつつあると思う。暑い日が多くジメジメしていて、時折バケツをひっくり返したような猛烈な雨が降って来る。これは高温多湿の熱帯性気候の特徴だ。四季がはっきりしている温帯気候からスライドしているとはっきり感じられる。気候が変るとそこに育つ動植物も変化する。そして、そこに暮らす人々の性格も変るのではと僕は思う。
以前、アジアを旅した時の事だ。何かの話の流れから自然の話へと話題が移った。
「緑があるのはいいよね、見てると心が落ち着くよ」
するとこう切り返された。
「緑はいいって?落ち着くって?冗談だろ」
意外な答えに驚いて僕はこう続けた。
「だって自然の中にいると、人はホッとするするし―――」
「違う。自然は闘うべき相手だ!!」
自然は闘うべき相手―――。
そう、熱帯性気候の中で暮らす人々にとって、爆発的に伸びる木や草は脅威の対象なのだ。ちょっと目を離すとそこはジャングルに埋もれてしまっている。生きる為には自然と闘って勝つしかないのだ。のんびりと身を委ねるなどという悠長な感覚はそこには存在しない………。と今まさに、雷が轟いた。ふいに黒雲が湧いてきて、大粒の雨が降り出した。時刻は午前11時20分、夕立というには早過ぎる。
猛暑はまだ暫く続くと言う。このまま環境破壊が続けば、一年中こんな感じになりかねない。日本人の穏やかさも四季も、失ってしまうのはあまりに哀しすぎる……。
※「不都合な真実」 著者 アル・ゴア ランダムハウス講談社 1,200円