『ゲラゲラなんて笑えないっ!』
毎日毎日じとじとジメジメ……。時折、バケツをひっくり返したような雨が降る。一年を通して梅雨の時期が一番キライだ。同じ九州でも早々に梅雨明けした沖縄と南部が羨ましい。せめて仕事だけでもすっきり晴天のようにいきたいものだが、どっこいそうはいかず。中でも小説版「DOG×POLICE」のゲラについた無数のチェックには、相当に凹みまくっている……。
本は出版される前のゲラ段階で必ず校正を受ける。校正とは漢字や言葉の間違いだけでなく、句読点の場所、言葉の表現、時にはその文章の内容までが対象に含まれる。これまでにも校正は受けた事があるのだが、今回のような長編小説となると初めての経験、これまでのチェックなど一体なんだったのかと笑ってしまうくらいの、膨大な「?」マークが付いている。
だが、そんな「?」を見てしみじみと思う。いかに自分が勢いだけで書き上げていたかという事を……。例えば「一ヶ月」という表現、一章ではそうなっていたものが二章では「一ヵ月」となっている。「ヶ」と「ヵ」が混同されている。それだけではない。一ヵ月の「一」が数字の「1」になっている箇所もある。そういう部分の一つひとつをページ番号まで抜き出し、どれに統一するかと尋ねてある。
他にもこんなものがある。ハンドラーが犬に指示を与える言葉を声符というのだが、これが時に「ひらがな」で「さがせ」と書いてあったり、「カタカナ」で「サガセ」と書いてあったりする。また、文章の下にラインが引かれていて、登場人物の立ち位置が分かりにくいと言った指摘までもがされている……。
どこまでも冷静なチェック。書いた、出来たとはしゃいでいた自分が一気に現実に引き戻される。
集英社文芸の担当編集Aくんと、僕の拙い文章を校正をしていただいた方に、この場を借りて心から感謝したい。この次に書くものは、今回より一つでもチェック箇所を減らそうと思う。勢いを持って熱くなりながらも、心のどこかは冷静でクールを保つ。それが小説を書くという事ですよ、そんな基本を教えられた気がする。
とは言え、このブログでも時々誤字脱字を指摘されてしまう、どうしようもない物書きなのだが……。