『趣味』
ある編集者がこう言った。
「この趣味を止めればもう一本作品が書けるじゃないですか!」
僕は答えた。
「絶対止めん………」
昨夜、思い立って完成させたキットの数を数えてみた。171体あった。171体………、確かに少ない数ではないと思う。組み立てに手間のかかる奴や塗り分けの面倒な奴、中にはパーツを自作しないといけない奴もいる。キットそれぞれで時間の掛かり方は違うが、僕の場合、平均すると1体を完成させるのに2日半から3日は掛かる。これに要した限りある人生の時間を計算すると………、計算すると………、計算すると………、いや、するまでもない!この趣味は人生の栄養だ!これがあるから仕事もやれてんだ!誰がなんと言おうとこれからも絶対止めん!!!
さて今回は、ガージキットの(我流)作り方を簡単に解説したいと思います。
①「箱の中身」
ガレージキットはだいたいこんな感じで箱の中にパーツが入っています。大手メーカーで作られたものではなく、文字通りガレージ(倉庫)の中で手製で作られた物がほとんど。よって、パーツの欠けや気泡はもちろんパーツ同士がきちっと噛み合わないなんて事も茶飯事です。でも、怒らないように。これはこれで楽しみましょう。
②「パーティングライン処理」
二分割した型を一つに整形した時に出来る合わせ目です。少しのズレならまだしも、「地割れか!?」と疑うような大きな段差まで様々なものがあります。これを根気よくヤスリで削って慣らしていきます。
③「離型剤落とし」
元型から整形した物を剥がす時、スムーズに取り出せるよう各パーツの表面に油を塗ります。これが離型剤と呼ばれる油分です。この油をきちんと洗い落としておかないと、今度は塗装がヒビ割れたりパラパラと剥がれ落ちるなど洒落にならん事になります。
④「パテ埋め」
洗浄後、パーツの接合部分をパテで埋めていきます。ヘラや爪楊枝や指先など使えるものはなんでも使い、回りのモールドに馴染ませて?ぎ目を目立たないように仕上げます。ひたすら根気です。
⑤「塗装準備オッケー」
パテが乾いたらサーフェイサーと呼ばれる下地剤を全体に吹き付けます。サーフェイサーの役割は、パーツの下地色を塗装しやすい色に塗り替えたり(ゴモラの空色を白に)、塗料の食い付きを良くするといったもの。サーフェイサーを吹き付けずにキット本体に直接塗装すると、やがて塗料が剥げてくる可能性があります。
下地処理が完了したら、目や歯、爪など白い部分にはマスキングテープを施します。
⑥「塗装開始」
エアブラシを使ってラッカー塗料(Mr.カラー)を吹き付けます。一番ベースとなる濃い色を全体に、凸部分にはそれより少し明るい色を数段階に分けて乗せていきます。
⑦「ウォッシング」
今度はエナメル塗料を使ってウォッシングしていきます。薄めた塗料を全体にまぶすとキットの皺など窪みに塗料が溜まり、その事でメリハリが生まれます。
⑧「目は命」
僕は最後の最後に瞳を描き込みます。「芸能人は歯が命」、「怪獣は目が命」です。納得いく瞳になるまで何度でも挑戦あるのみです。
⑨「完成」
ようやく完成です。四方から眺め悦に入る一時です………。
⑩「個展会場」
2004年8月12日から9月12日まで、福岡市天神にあるイムズビル内、三菱アルティアムの会場で個展を開きました。大人も子供も、ほんとに沢山の人が見に来てくれて嬉しかったです。またその内、福岡だけじゃなく別の街でも開きたいですね。
もう一つのサイトでは、僕が作った作品を公開しています。ちなみに写真も自分で撮りました。ガレージキットの世界に触れつつ、皆さんに楽しんでいただけましたら幸いです。
ガレージキット – 小森陽一プロダクト
http://www.y-komori.net/garagekit/