『禁断の言葉』
特別何も感じてはいなかった。その昔、久保さんもやっていたこのゲーム、うちの娘も友達とDSで遊んでいるのは知っていたが、やりたいと思った事は一度もない。「どうぶつの森」………、架空の森の中にある村で、そこの住人となって暮らすゲームだ。虫を取ったり魚を釣ったり家を建てましたり村人と話たり………、何がそんなに面白いのか正直よく分からなかった。
そんなある日、娘と一緒にゲーム屋さんに行った。どうしてゲームを買ってやるハメになったのか理由は忘れたが、娘がズラリとゲームの並んだカウンターから持って来たのはまたしても「どうぶつの森」だった。
「これ、持ってるだろう?」
「よく見て!これはWiiなの。持ってるのはDS!」
『まぁいいか………。本人がこれがいいと言うんだし………。ハードは変わっても中身は同じようなもんだろうけど………』
家に帰って早速ゲームを始めた娘、僕はソファに寝転んでなんとなしにテレビ画面
を眺めていた。するとだ。虫取り網を操ってミヤマクワガタやらビワハゴロモとい
った虫を捕まえ出し、釣竿を垂らしてはピラルクやシュモクザメなんかを釣ってい
く。スコップを取り出して地面の×印を掘ると化石なんかが出て来る………。
『なんか………楽しそう………』
その時初めてそう思った。
今年の夏、虫取りも魚釣りもしていない。元来、動くものを捕まえるというハンター衝動のある僕としては、相当に欲求不満の夏だった。それが今、バーチャルとはいえ目の前にある。リモコンを操作すれば、虫も魚も木のみも取れるのだ………。
「ちょっとだけ貸して………」
とうとう禁断の言葉を使ってしまった………。
今では毎日「どうぶつの森」に通っている。村人からはDr.ようなんて呼ばれて結構頼りにされる存在だ。明日は虫取り大会だな………、ヤシの木が早く育たないかな………、そんな事を思いつつ一日を過ごしている。―――これが「海猿」やら「トッキュー!!」やら「S」やらを書いている男の実態です………。
ちなみに「街へいこうよ どうぶつの森」はシリーズの5作目、発売は2008年です。それを今頃………う~ん、遅れてるぅ!!
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