『悪夢、再び………』
仕事の疲れと慢性的な運動不足、それに加えて飲酒、喫煙………、これじゃ身体が弱るのも無理はない。
数週間前から胃腸に違和感を感じていた。中々食べ物を消化してくれないような、いつまでもそこに詰まっているような重さがある。ここ数日、それがひどくなったので、薬局から薬を買ってきた。これがいけなかった………。
僕は薬をむやみに飲まない。いや、飲めないと言った方が正しい。数年前、体調不良で風邪気味だった時、なんの気なしに飲んだ市販の風邪薬が身体を治すどころか逆に作用した。全身にアナフィラキシーの症状が出たのだ。猛烈な赤味と凹凸と痒みが広がり、病院へ行くと直ちに入院となった。薬疹だった――――。
それまでの人生で一度も蕁麻疹など出た事もなかったが、これを境に体質が変化してしまった。数年経って随分症状は治まったものの、やはり完治には至らず。時折思い出したように赤い斑点が出る。ただ、喉元過ぎれば熱さ忘れるの諺通り、次第にあの辛かった記憶は薄らぎ、再び不摂生が目立つようになっていた………。
今度は市販の胃薬でショック症状が出た。あの忌まわしい日々を呼び起こすのに十分な赤味と痒みだった。
ただ………幸い昔よりも症状が軽かった。五日間、点滴を受け、毎日きちんと薬を飲み、ようやく症状は治まりを見せている。
酒も煙草もない生活が今日で1週間目、身体が心持ち軽くなったような気がする。律する事の大切さ、健康を損ねると我が身に染みる………。
いい機会だ。居住いを正してまた仕事に向かおうと思う。残り三ヵ月半、今年の再スタートとなればいい。