2008/8/5 火曜日

『異常気象』

小森陽一日記 17:24:35

最近の移動はもっぱら飛行機だ。もともと飛行機は苦手だが、打合せや取材のスタート時間など早いものも多く、新幹線ばかりには頼っていられなくなった。だから飛行機と懸命に仲良くなろうとしている。座席に座ったら「頼むな………」、ガクンガクンと揺れると「頑張れ………」、着陸したら「お疲れさん………」、必ず小さく声を掛けている。
(たまたま側で聞いた人、至って当人は真剣ですので笑わないように………)

飛行中に窓から空を見ていると、時折とんでもない入道雲を見掛ける事がある。天を突くような勢いで伸び上がり、城壁を思わせるような四肢がどこまでも広がっている。思わず見入ってしまいそうなほどの凄まじい雲の塊である。先日も急にゴロゴロと雷の音がして我が家の窓から外を眺めると、物凄い雲の塊が西の空を覆っていた。あまりにも巨大な入道雲だったので思わず写真を撮ったほどだ。

0805.jpg

娘の友人のパパが旅客機のパイロットさんだ。先日お会いした折、入道雲の話をしたら、
「確かに今年は多いです。4日ほど前も東北が凄かった………。やっぱり異常気象ですね………」
そうおっしゃっていた。
入道雲の中は上昇気流と雷の渦、迂闊に突っ込むと大変な事態になりかねないそうである。飛行機に乗って外を注意して眺めていると、巨大な入道雲を交わして飛んでいるのがわかる―――。

ご存知の方も多いと思うが、12月6日公開の『252 生存者あり』という作品も巨大台風の猛威を扱った作品である。先日、東宝スタジオで最終のダビングが行われ、僕も顔を出す事が出来た。東京上空が鉛色の雲に覆われ、ソフトボール大の雹が降り注ぎ、数十メートル級の高潮が街を飲み込んで行く。凄まじい被害が出たところへ、追い討ちをかけるように台風本体が上陸してくる………。芸達者な役者さん達の火花散る演技と目を覆うようなスペクタクルシーンの連続、何時の間にか全身に力が入り、終わった後は疲労さえ感じたほどだ。それくらい圧倒的な作品に仕上がっていた。

もしもこんな台風が日本を襲ったら――――、考えるとゾッとする………。しかし昨今の異常気象を考えると、あながち空想では片付けられないものがある。あの天を突くような入道雲がいつ巨大台風に成長しても不思議ではない、そう思えて仕方がない………。

(C)CopyRight Yoichi Komori All rights reserved.