『海外版』
マンガは凄い。なぜって、あっという間に国境を越えてしまうから―――。
僕の手元にも毎月海外版が届く。香港、台湾、韓国は言うに及ばずタイやマレーシアなどのアジア諸国、はたまたフランスなどヨーロッパのものもある。馴染みのキャラクター達が僕の知らない言葉で話し、怒り、笑っているのを見ると、なんとも不思議な気持ちになる。
以前、「トッキュー!!」の取材でインドネシアを訪れた時、本屋さんで見慣れた画を見つけた。言わずと知れた難波麟太郎、それは「海師」のインドネシア版単行本だった。遠く海を越えたジャカルタの本屋で平積みされた本をじっと見つめる。
「逞しく育ったなぁ………」
ある日突然、我が子の活躍を知った親のような心境になった。お土産にどっさり買い込んだのは言うまでもない。まさか店員さんも作者が買い漁っているとは夢にも思わなかっただろうが………。
多少、受け取りの差があるこそすれ、SFだろうとファンタジーだろうと日本の国家公務員ものであろうと全然大丈夫。アジア人でもヨーロッパ人でもアフリカ人でも、喜怒哀楽の感覚に大差はない。
『人間ってやっぱりベースは同じなんだ………』
マンガに携わって一番実感した事はそれ。そしてそれは、今後の創作活動をしていく上でとても重要なキーになると思う。映画に小説にゲームに、色んな分野に生かしていきたい。
――――なんか最後は決意表明みたいになったな………。