『マジっすか!?』
表題のフレーズ、『カミウサギ紙兎ロペ』の主人公、ロペの口癖である。アキラ先輩と行動を共にし、時々好物のカリカリ梅を食べつつ、何かあると「マジっすか!?」と言う。この東京下町が舞台のゆる~いアニメは、なんとなく見ていてなんとなく笑ってなんとなくはまった。別に無くても生活にはなんの支障もない。でも、無かったらなんか寂しい。ゆるい中毒症状を引き起こす実にヘンな作品なのだ。
「マジっすか!?」
なんと監督は僕の大学の後輩、青池良輔だった。
(「あおいけ」とパソコンで文字を打って変換すると、毎回「青い毛」となる。これはこれで笑える)
実は青池良輔とは強烈な想い出がある。まだ僕が大阪に住んでいた頃の事だ。その夜、彼を始め数人の後輩達が僕の部屋に集い、夢と野望を語り合っていた。夜が更けるにつれ話題はますます熱を帯び、お腹が空いてきた。ピザでも取ろうかと話し出した矢先、その内の一人が「なんか焦げ臭い匂いがします……」と言い出した。注意して空気の匂いを嗅ぐと、うん、確かに焦げ臭い。しかも、夜中なのに窓の外がなんだか明るい。なんだろうと思ってガラリと窓を開けると、下の部屋の窓からオレンジ色の炎がメラメラと這い出しているではないか。
「わ! 火事だ!」
慌てて僕等は外に飛び出した。
ある者は消防車を呼び、ある者は別のアパートの住人を叩き起こし、ある者はアパートの大元であるガスの元栓を閉めに走った。やがて到着した消防車が火を消し、僕の部屋はなんとか延焼を免れた。しかし、火元となった部屋の住人は亡くなった。後から聞いた話だが、寝タバコが原因だったらしい。
ともあれ一件落着し、僕等は再び部屋に集って一息をついた。薄っすらと外は白み始めていた。
だが、この話には後日談がある。数日後、僕の部屋に刑事が訪ねて来た。そして何度も当日の事を尋ねられた。それも一度や二度じゃない。何度もだ。どうもおかしいと思って「もしかして僕、疑われてます?」と思い切って聞いた。すると「そうですね」とにべもない返事。驚いた僕は重ねて理由を聞いた。すると、「手際が良過ぎる」という答えが返ってきた。そう、消防車を呼んだり、近隣の人を起こしたり、アパート全体に供給される大元のガスの元栓を閉めたり、そんな後輩達の大活躍が、逆に警察の目には手際が良過ぎると映ったのだ。
もちろん事件性は無いとして僕の疑いは晴れた。しかし、腹の虫は収まらない。
「お前らの手際の良さのせいで俺は警察から放火の疑いを掛けられたぞ!」
だが、怒鳴る前に青池良輔は海の向こうへと旅立って行った……。
そんな彼と何の因果か再び合間見える事になった。確かに人相風体は変わったが、ハートは昔と変わっていない。やはり骨の髄までモノ作りだ。さてさて、どうしよう。面白い事を始めるにはうってつけだ。世間を「マジっすか!?」と言わせてみるとしようか。