『ぶらぶら』
寒い。でも、ワンコは待っている。散歩に行くのを待っている。僕がリードを持って迎えにくるのを。「きっと来る~、きっと来る~」と信じて待っている。みぞれが降る日も雪が舞う日もだ。そうだ。それがワンコなのだ。
先日、ぼんやりと「嵐にしやがれ」を見ていたら、俳優の勝村さんがゲストだった。ワンコの散歩をしながら気になったものや景色や出来事を、カメラで収めるのが趣味なのだそうだ。決して大爆笑ではない、プチ面白ろ写真がスタジオで披露された。プチ面白ろ写真はその人の目線がどこにあるかが分かる。もっというと、その人の人となりが滲み出る。
僕もワンコの散歩をしながらカメラを向ける事がある。頭の中を空っぽにしてぶらぶら歩いていると、自分の目が通りすがりの美人だけじゃなく、何か変なものに向けられている事がある。それは誰かが踏ん付けて潰れたウンコだったり、どうしようもなく凶悪な顔をした猫だったり、何日も取り込まれない洗濯物だったりする。
久し振りにカメラを持って散歩に出た。気になったものにシャッターを押す。基本、どうでもいいものばかりだ。でも、妙に目に付いてしまったものである。この辺、やけに電線が多いなとか、階段あり過ぎるだろとか、木の上の雲だったり雑草の向こうの雲だったりする。もちろん、ワンコ絡みも多々ある。
皆さん、この写真を見て何をお感じになるだろうか。「あぁ、意外とこの人平凡ね」とか、「だいぶ疲れが溜まってるんだなぁ」とか、「別に」とか。様々だと思う。そう、バカボンのパパじゃないけどそれでいいのだ。昼間っから近所をぶらぶらしてこんな写真を撮れるってのは、存外平和な証拠だ。そんな奴のブログを眺めている皆さんも似たり拠ったり。あくせくも大事だけど、心のどこかにぶらぶらを忘れないで今年も進んで参りましょう。