2012/10/30 火曜日

『濡れ落ち葉』

小森陽一日記 11:58:46

すっかり冷え込んで来た。今週は最低気温が一桁台になるところが多いとか。朝、散歩をしていると落ち葉が濡れているのが目に付くようになった。いよいよ日本列島も秋深しだ。

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ここんとこずっと格闘していた小説を脱稿した。これから加筆、修正はあるが、大きな山は越えた。という事で美味しいものを食べに行く。ストイックな部分もあるが、甘くもある。そんな私。

数年前に知人の紹介で知り合った酒造メーカーの社長さんから、福岡で食事会を開くから是非にと招かれた。食事会などという格調の高い場所は苦手だが、ここのお酒は大好きなので結局行く。春鹿という銘柄の日本酒。奈良にある。淡麗辛口、通好みの感じだが、これが美味い。日頃あまり日本酒は口にしない。しかし、春鹿だけは時折買って飲む。四十名ほどの皆さんと美味しい料理を口にしながら、色んなタイプの春鹿を飲む。う~ん至福。でも、実を言うとこの時はまだ小説のラストに「終」と書き込む手前だった。微妙にブレーキが掛かる自分が哀しい……。

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さて、話しはガラリと変わってこれ、「スターウォーズ/クローンウォーズ」。ようやく最新のシーズン4が発売された。待ってたんだよなぁ。毎回、恐ろしく展開が早いからちょっと目を離すと話しについていけなくなる。という事で万難を排し、一気にまとめ観。……でも、気付いたら寝てた。書き上がった事から来る安心感までは排せなかったようだ。いいや、もう一回最初から観よう。

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季節も進む。仕事も進む。歳も取る。あれだけ緑色だった葉っぱも色を変え、落ちる。同じように人もまた変わる。一つとして同じものは無い。しかし、変わりつつも、願わくば良きように変わりたい。

2012/10/23 火曜日

『え……もう、「にじいろジーン」すか?』

小森陽一日記 10:01:59

朝は大体7時から7時半起き。娘を送り出して嫁さんと朝食を食べる。観ているのはこの前まで「梅ちゃん先生」。今は「純と愛」。そのまんま「あさイチ」に移行。しばらくしたらワンコの散歩に出掛ける。ほぼこのパターンで日々が過ぎて行く。  それが「にじいろジーン」に変わった時、なんか焦る。
「え……もう一週間経ったの?」

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あっと言う間の一週間。それでも色んな事が起ってはいる。まず、「S」の担当Kくんがやって来た。なんで来たの? よく分からない。多分、他の用事のついで。しゃらっと打ち合わせ。刈り上げた頭がよほど怖かったのか、家のワンコは中々近寄ろうとしなかった。うん、お前の判断は正しい。

晩御飯はKくん共々日頃お世話になっている方々と一緒にとった。刺身を摘みながら色んな話しで盛り上がる。でも、落ち着く先は大体僕の話し。昔の作品は読めたもんじゃなかったとか、今は多少なりともマシになったとか。褒められては落とされ、落とされては上げられる。ジェットコースターより酷い。

夜9時以降は酒は我慢。酒を飲んで寝不足になると、翌日、確実に仕事のペースが落ちる。さすがに今、それは出来ない。
「よ、責任感が服をきた男!」
そんなフレーズを自分に言い聞かせつつ、耐える。 

娘が突然、アジのムニエルを作ると言い出した。ほんとにやれるのかと思って眺めていたら、なかなかの手捌きでアジを三枚に下ろした。内臓を洗い出し、骨を獲り出し、塩と胡椒と小麦粉と卵をまぶして油で焼く。仕上げはマヨネーズとケチャップのソース。美味い! 酒の摘まみにぴったりだ。
でも、今は思いっ切り飲めない……。
仕事が一段落したらまた作ってくれとお願いする。まさか、娘に料理をねだる日が来るとは思わなかった。

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「にじいろジーン」から「にじいろジーン」。振り返ってみるとやっぱり色んな事がある。

追記
コラムを始めた。スカパーの会報誌「ヨムミル!」だ。大学時代の友人Oくんが二十年振りに仕事を頼んで来た。なんたって二十年振りだ。これはもう受けない訳にはいくまい。という事で11月号から載る。スカパーご契約の皆さん、今後ともどうぞよろしくお願いします。

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2012/10/16 火曜日

『行動範囲1km圏内』

小森陽一日記 11:38:47

今、小説が佳境を迎えている。「今月末までに脱稿してください!」。担当さんから厳命が下っている。分かっとります。頑張らせていただきます。踏ん張らせていただきます。―――という事で表題に繋がる。

家を出るのは朝、夕のマイの散歩くらいなもの。近所をぶらぶらと歩いている。でも、これも結構楽しい。落ち葉を踏んだり、紅葉を眺めたり、バッタを追いかけたり、知り合いのワンコに挨拶したり。新築の家が今日はどこまで出来ているとか、コンビニにコーヒー牛乳の美味しい新製品が入ったとか、いわし雲に夕陽が当たって綺麗だとか。たった1kmの中にも世界はある。おー、なんか正岡子規みたい。

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先日、こんなCDを買った。山下達郎さんのベストアルバムだ。仕事の合間、BGMとして流していたら、仕事どころじゃなくなった。高校、大学、就職、色んな場面が甦る甦る! ほとんどの曲が耳に残っているし、歌詞が口をついて出てくる。
あらためて思った。僕の人生、こんなにも達郎さんの音楽と共にあったんだなぁと。心残りはコンサートに一度も行けていない事。次にそんな機会があったら必ず、なんとしても、絶対、何があっても、どんな事をしても(これ、いろんな担当さんに向けて言ってます)行く。うし!

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キットの方は全然作れてないなぁ。「放課後~」で大活躍(大騒動?)したマ・ミ・ムことマコ、ミーコ、ムツコの粘土原型から起こしたレジンキットも、ずっと棚に飾りっ放しのままだ。
「早く塗って塗って!」
「さっさとしなさいよ、グズ」
「……フッ」
眺めているとそんな声が聞こえて来る。はいはい、もうちょっと待っててね。

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追記
 「STORY BOX」についてお知らせがあります。本屋に行っても見つけられなかったという声を頂いております。この本、雑誌サイズではなく文庫サイズです。文庫、です。まだ見つけられていないという方、何卒文庫のコーナーにお立ち寄り下さい。

2012/10/9 火曜日

『仕事・散歩・宣伝 秋×3』

小森陽一日記 13:23:11

秋だ。ようやく秋。昼間は暑いが日陰に入るとひんやりする。夜はさらにいい。寝苦しくない。季節は巡るのを忘れてはいなかった。

仕事はたんまりだ。特に先月後半から今月頭までは追い捲られた。やってもやっても終らない。嬉しい悲鳴なのだろうが、渦中にいるとそんな事を思う余裕すらない。う~ん、やるしかないのダ。仕事の秋。

涼しくなったらいきなり活動的になった。マイの動きがキレている。エサを見るとさっと立ってハウスへ、リードを見ると喜び勇んで駆け付ける。散歩の時はもう嬉しくて仕方がない。運動不足の身体にはちょうどいい。散歩の秋。

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先月末、「S」の8巻が出た。縁上編。これ書いたのって随分と昔のような気がする。縁上の狂気、大好きだった人に認められたいという気持ち。純粋であるがゆえに、歪む。こんな話は巷にもよくある。
今週売りのビッグコミック20号は「S」が巻頭だ。こちらはプルトニウム編。テロリスト正木圭吾、彼もまた哀しいくらい実直で純粋。ゆえに信じるものの為に驀進する。今後、どんな結末が待っているのか? 
そして、今月8日発売された「STORY BOX」38号。「銀色の巨人」の第一章が掲載されている。地方の消防士とウナギの研究員、幼馴染の二人が今後、驚愕の事件に巻き込まれていく。まさかの「ウルトラマン」だ。楽しみにしていて欲しい。という事で宣伝の秋。

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皆さん、いろんな秋を満喫しましょう!

2012/10/2 火曜日

『ドームが揺れた夜』

小森陽一日記 11:13:18

何年振りだ、ドームに行ったの? 三年振りくらいかもしれない。随分と足を運んでなかったなぁ。明るい廊下や天井からぶら下がったモニターや繁盛する売店が、なんだかとても懐かしく感じた。

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とある御仁に「ドームに行こう」と誘われた。この十年来、お付き合いしていただいているFマス。「トッキュー!!」のダムの所長や「DOG×POLICE」小説版の警備部長で僕の作品に登場いただいているお方だ。それに留まらず、マンガや小説や映画の打ち合わせでいく度もお店にお邪魔し、ひたすらお世話になっている。

練習から見ようという事だったので、グラウンドに出るのは分かっていた。だが、まさかベンチにまで入れるとは……。ここ、野球人からすれば聖域だから。そんな場所にほいほい部外者が入っていい訳ない。でも、招かれた。Fマスの幅広い人脈とホークス関係者の温かい心遣いだった。ベンチからグラウンドを見るとこんな風に見えるのか……。監督やコーチや選手に思いを馳せながら、しばしこの絶景を眺めた。

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試合が始まる。そこにはグリーンのユニフォームに身を包んだ背番号9の姿があった。小久保選手。もちろん会った事も話した事も一緒に飲んだ事もある。でも、グラウンドで見る姿はまったく違う。どうしようもなく風格がある。

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小久保選手は今シーズンで現役に別れを告げる。寂しい。しかし、選手には必ず始まりと終りがある。ファンは黙ってそれを見届けるしかない。でも、あの綺麗な放物線を描くホームランをもう一度この目で見たい。正直な願いだ。果たしてそれは適った。なんと二打席連続ホームラン。鳥肌の上に鳥肌が立った。ドームが凄まじい歓声に包まれる。そんな中、背番号9は笑みを浮かべながらゆっくりとダイヤモンドを回った。実に美しい光景だった。

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小久保さん、ありがとう。最高の瞬間を目の当たりに出来たよ。そして、沢山のホークス関係者の皆さん、何よりこの場に誘ってくれたFマス、本当に感謝します。根が単純だから、なんか力が漲ってきた。俺も仕事、ガンバロウ!

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