『350砲』
言葉や文字にすれば一瞬だ。だが、この数字には長い時間と
松中信彦選手の350号達成を祝う会に、不肖ながら僕も招かれた。大人数ではない。二十名ほどのほんとに小さな会だ。松中選手が食べて唄って大騒ぎ出来る、本当に気心の知れた人達。隣で見ていて、本当に愉しんでいる様が伝わって来た。
彼にはもう一人の親ともいうべき存在がある。一見すると厳つく、強面で、眼光鋭い暗黒街の顔役のような人。しかし、その懐はどこまでも深く、強い者にも弱い者にも出来る人にも出来ない人にもとことん優しい。この人が陰日向となって彼の大きな背中を支えている。
松中選手は挨拶の中で力強くこう言った。
「後二回、こんな会を開いて貰えるように頑張る」
400号ホームランと2000本安打、僕はその日を信じて声援を送り続けようと思う。