2012/1/24 火曜日

『スペクタクル』

小森陽一日記 9:28:24

人生に平凡なし。平凡は人生と無縁。どんな偉人だろうと赤ちゃんだろうと一日は24時間で、生きてる限り色んな事が起り、怒ったり泣いたり笑ったりする。人生はスペクタクルの連続なのだ。先日、パソコンを抱えて上京した。2012年初上京、3泊4日の工程である。やはり、色んな事があった……。

第一のスペクタクルはウルトラの生みの親の皆さんと新年会。飯島監督、上原正三さん、桜井浩子さん、そして円谷プロのKさんと会食。このメンバーで食事をするのは二度目だが、やはりキンチョーする。「えーい、さっさと酔っ払ってしまえ」とグラスを空けるが、一向に酔いは回らず。なぜか冴える……。やはり初代のオーラは凄い。近々の再会を約束して別れる。

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第二のスペクタクルは東宝スタジオ。アンチカPのお誘いで「踊る~4」の現場にお邪魔する。細部まで徹底的に作り込まれたセットと小道具にただただ驚嘆する。これならどっから撮ってもちゃんと「踊る~」になる。リハーサルはシリアスなシーン、織田さんと小栗くんがお芝居の火花を散らしている。ズケェ、ピリピリする……。本広監督にご挨拶。「海猿」は連載当時から大好きだったそう。とても嬉しい。次回ゆっくりと飯でも行きましょう。もう一人、伊藤淳史くんと初対面。今だに「工藤さんと言われます」と言ってた。伊藤君、はまり役だったもんね。撮影、大変な時は胃薬飲んで頑張って!

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第三のスペクタクルは吹雪の中、横浜防災基地奥の巡視船「やしま」での取材。冷たい手すり、ブリッジの計器類、エンジンルームの油の匂い、そして海保の人達。なんか古巣に帰って来た!という感じで幸せだった……。昔懐かしい人達にも会えて、あらためて自分のキャリアの始まりを感じた。え、なんで巡視船に乗ったかって、へへへ、それはもちろん「S」の為ですよ。警察と海保が絡む話は一度でいいからやってみたかった。もちろんスペクタクルたっぷりに描くつもり。乞うご期待!

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第四のスペクタクルは佐野眞一さんの「あんぽん」。ご存知ソフトバンクの孫正義会長のノンフィクションだ。一日で貪るように読んだ。近年、これほどまでに面白いと思った本はない。著者の佐野さんは一度だけパーティでご一緒になった。その時は病み上がりで、車椅子に乗っておられた。だが、この本の佐野さんは違う。あの時とは別人だ。とんでもなくアグレッシブに動き回る。元々こちらがホンモノなんだ。凄まじい取材量と冷静冷徹な作者の目、決して流されない歯に衣着せぬ物言い、圧倒されるほどの気迫を感じる。佐野さんだから「あんぽん」が書けたのだ。そんじょそこらの物書きだったら火傷する。

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明日はまた泊り掛けで取材だ。間違いなくスペクタクルを味わう事になる。今年も面白くなりそうだ。

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