2011/3/1 火曜日

『ゲストティーチャー』

小森陽一日記 13:26:20

先週、娘の通う小学校で講演をした。ゲストティーチャーという役回りだった。間もなく卒業を迎える六年生を対象に、仕事、夢、思いなどをテーマとして話して貰いたいと言う。当初担任の先生が僕の出馬を相談した時、娘は頑強に断ったそうだ。僕にも「受けないで」と言って来た。それはそうだろう。自分の父親がみんなの前で色んな話をする。きっと後で色んな事を言われる。なんと言っても多感な時期だ。理解は出来る。だから一度はお断りした。しかし、何度か先生と娘が話をする内に熱意が伝わったのだろう。娘が折れた。「その代わり――」と僕の顔を真顔で見つめて言う。「絶対変な事言わない。ウケも狙わなくて言い。変な格好もして来ないで!」事細かな注文が付いた。

マンガ、小説、映画など、物語を作るという事は、こんなに色んな事をするんだよ………なんて口で説明しても中々伝わらない。だから、CXの臼井Pや日テレの佐藤Pから頂いた「海猿」や「252」のプロモーション映像、新作アニメの蔵出し映像をスクリーンで流し、ロケ現場のスナップで映画の作り方を解説した。また、脚本や久保ミツロウのネーム、アニメの画コンテ、様々な原作などを持参して子供達に直に触れさせた。

数日後、子供達から沢山の感想を頂いた。作品作りの苦労や楽しさはもちろん、僕が話した言葉の細部までよく覚えて記してくれていた。何より、「忙しい中、来てくれてありがとうございました」という感謝の言葉が無数に綴られていた事に感激した。芯からやって良かったと思った瞬間だった。

その講演のラスト、新作の話をした。「DOG×POLICE」だ。首輪を取り替える事で性格や行動が変化する警備犬、その話を聞いた時、グッと興味を魅かれた事を今でもはっきりと覚えている。もう7年ほど前、新宿の居酒屋での事だった。
それから紆余曲折あったが、佐藤P、下田P、そして七高監督、何より脚本の大石さんが本当に頑張ってくれたおかげで、いよいよスタートを切れる事になった。ここからは警備犬を演じるシロと、早川勇作を演じる市原くんの登場だ。もうどんどん昇って行くのみ、ゴールまで突っ走ってくれると120%の思いで信じている。

子供達はこの映画が公開される時、中学生になっている。あん時小森のおじちゃまが話した事を思い出し、沢山の人が関わって作られた作品に思いを馳せて、「DOG×POLICE」を存分に楽しんで欲しい。

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