自然と苦笑いが漏れた………。
カイロ空港から市内のホテルへ向かう道すがら、車線無視、スピードぎゅんぎゅん、クラクション鳴らしまくりのサバイバルレースが展開!聞けばエジプトではこれが日常なんだそう………。しかしこっちは異邦人、まるでマリオカートが現実化したような光景に、何度も「ブツかるっ!?」と身を縮め、肝を冷やし、足を踏ん張った。でも、人間って恐怖を突き抜けると笑えてくるみたいで………、最後はひたすらエネルギッシュなエジプト人に呆れ果て、車内で笑い転げてしまいました。
30分ほどレースして無事ホテルにチェックイン、延々と続くクラクションのオーケストラを子守唄に眠りについたのでした――――。
一生の中でこれだけはやっておきたい事って誰しもあると思います。僕のやっておきたい事の一つ、それはアフリカ大陸上陸とピラミッド見物。子供の頃からの夢が、本日ついに実現しました!!
再び命懸けのカーレースに挑み、カイロ市内からピラミッドのあるギザ方面へ。ゴミゴミした街並みの向こうに突然ドーンとあの特徴的な三角形が姿を現しました。
「ピラミッドが見えた!!」
この瞬間が今回の旅の中で最もボルテージが一番上がった瞬間かもしれません。その証拠にゾゾゾと全身の毛が総毛立ちました。
クフ王の大ピラミッドにへばりついて遠い昔に想いを馳せ、狭い大回廊を通ってピラミッド内部の王の玄室に足を踏み入れ、エジプトの強烈な太陽の下をラクダに乗って歩き、狛犬とも言うべきスフィンクスを眺める。うーん、まさに至高の気分!ほんとに素晴らしい!!
昼食の後シタデルへ。モカッタムの丘の上に建つ巨大な城塞、その中には荘厳なムハンマド・アリ・モスクがあります。かつてイスタンブールに行った時、ブルー・モスクの美しさに目を奪われましたが、ここのモスクも天井の装飾が豪華で美しいこと………、しばし目を奪われました。
そして次の目的地、ハン・ハリーリへ移動。エジプトの物売りに閉口していた娘はその集合体とも言うべき巨大市場に行くのを嫌がりましたが、ちょっと見て帰るからという説得に渋々了解。市場の路地に一歩足を踏み入れると右から左から後から、怒濤の物売り合戦がスタート。
「全部1$!」、「持ってけドロボウ」、挙句の果てには「価格破壊!」と叫ぶ奴もいて………。はぁ、こんな日本語、一体誰が教えるんだか………。
そんな物売りに脅える娘は一人の女性の腕をひしと掴んで耐えておりました。娘にとっては絶対的に頼れる姉のような存在、それが稲葉くんの奥さん、琴絵さんなのです。
普段はあんなに可愛くて優しいのに、エジプト人のはったりなんかにゃビクともせず、時には笑ってすかし、時には英語でガツンと啖呵を切って適正価格にまで持って行く。その堂々とした態度たるや大岡越前と遠山の金さんを足して2で割ったような感じ、娘のみならず妻も僕もほんとに頼りまくりでした。稲葉嫁、ここに極まれり。ほんとにありがとう、こっちゃん!!
夜はエジプトの日本大使館にいらっしゃる久田さんのお招きを受け、ナイル川クルーズと洒落込みました。どデカイ屋形船でナイル川を遊覧しつつ、エジプト料理に舌鼓。目の前ではセクシーなベリー・ダンスと旋舞と呼ばれ延々と周り続けるダンス、スーフィーに目を奪われ、そうして静かにアフリカの夜は更けて行ったのです――――。
翌日はエジプト考古学博物館へ。
古代の超貴重なお宝がそこかしこに無造作に置かれている現実にまずは軽くショックを受けつつミイラ室へ向かいました。そこには歴代ファラオのミイラがズラリと並んでおり………、頭髪や皮膚、胸の前で組んだ腕、閉じた瞼の薄さなどなんだか紀元前の人って感じが全然しなくて………。当時のミイラ技術がいかに高度なものだったのかを今に伝えています。
そしてここに来たらやっぱりコレ、ツタンカーメンの黄金のマスクでしょう。金色に輝くマスクにはびっしりと細工が施してあり、表面だけかと思ったらそれは裏にもあって、中島誠之助さんじゃないけど思わず「いい仕事してますねぇ」と感嘆の声が漏れてしまいます。当時のエジプトは本当に優れた文明を持っていたんですね。今はカーレースと物売り凄いですけど………。
そんなこんなでエジプトの旅も無事終了。最高の想い出と土埃を土産に再びクウェートへ戻ったのでありました。
最後にこんな写真を2つ、一つはホテルの部屋の中、電気スタンドの置かれた台の上に貼られていたもの。これ、メッカの方向を指してるんだそうです。ヒルトン・ホテルにメッカを示すシールが貼ってあるなんてなんだか面白いでしょう。
もう一枚はそのものズバリ、マック・アラビア!!稲葉くんが買って来たのでパチリ、味はわかりません!
行き帰りはさすがに遠かったけど、楽しさが遥かに上回りました。稲葉くん、琴絵さん、本当にお世話になりました。中村さんご夫妻、お土産までいただいてありがとうございました。三島さん、あなたの手相は最高です!久田さん、ルクソールに行く時は是非とも宜しくお願いします。
旅を支えて下さった皆様、心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました!!