『いぬパ』
本格的な冬将軍の到来で、福岡もここ数日雪が舞っている。東京に行くとよく、「福岡は温かいんでしょうねぇ」と言われるが、いえいえ、九州と言えど日本海側ですから、氷点下にもなれば雪だって積もります。大変寒いんです。
朝起きたら一面薄っすらと雪化粧していた。早速、マイを連れて散歩に出掛ける。マイを見ていると、それなりに寒いとは思うんけどそんな素振りは一切ない。元気いっぱい、尻尾をふりふり、動きにもビシバシとキレがある。いつものコースを辿り、知り合いが残していったのであろうオシッコの匂いを嗅いで、その上に挨拶返しのシー………。ついでにウンも付ける大盤振る舞いだ。
だが、その先で思わぬ事が起きた。ちょうど散歩コースの途中に最近家が建ち始めている。ブルドーザーで掬った土をダンプカーに載せて運んでいる。そのダンプカーがマイの目の前でクラクションを鳴らし、突然動き出したのだ。巨大な鉄の塊が動き出した事にびっくりしたマイは、慌てふためき、混乱し、そこから離れようと激しく身をよじって飛び跳ねた。つまりパニックを起こしたのだ!!
普段と違う雪の積もった道、見慣れない人(赤い棒を持ったヘルメット姿の警備員さん)、そして巨大なダンプカー………、この三つが重なってマイの脳みそは一瞬リミッターがぶっ飛んだ。リードを持つ僕ごと引きずるようにして飛び跳ねた。「よしよし、何も怖くないよ」と声を掛けて撫でてやると、飛び付いて来た。普段はしない仕草を見せるなんて………よほど恐ろしかったとみえる。
僕はいぬのパニックを「いぬパ」と呼んでいる。「いぬパ」は結構危険だ。中型犬のマイに大人の僕でも振り回されそうになったくらいだから、お年寄りや小さい子だと間違いなく引きずられる。そこに車やバイクが突っ込んで来たら目も当てられない。犬を飼っている皆さん、慣れた散歩コースでも普段と違う条件が重なると「いぬパ」が起こりやすくなります。くれぐれもご注意を―――。