2009/6/30 火曜日

『自宅で田植え』

小森陽一日記 13:05:32

娘が学校から稲の苗を貰って来た。
「ほんとは一つだったんだけど、欲しいってお願いしてパパとママの分も貰って来たよ」
ビニール袋に入った三束の苗、そりゃどうも………。でもこれ一体どうすればいいの?

一緒に持ち帰ったプリントには稲を育てる準備が記してあった。それを見るとなるほど、目一杯下準備が掛かる。でも面倒くさいとは言えないし………。という事で早速やってみる事にした。

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まずは用意するもの、「黒土」、「赤玉土」、「鹿沼土」の三種類の土が必要との事。育てるのはバケツで構わないという事だから、三つ分のバケツもいる。それらをホームセンターで購入した。次に土を天日干しにせよとある。そうする事で土に棲んでいる菌が活気付くのだそうだ。幸い梅雨の中休みで天気もいい。ウッドデッキにビニールシートを広げ、すべての土を広げた。
数時間後、太陽が真上に差し掛かった頃、干した土をバケツに入れて行く。黒土6に対して赤玉土3、鹿沼土1という比率を守り、バケツに手を突っ込んでよく混ぜ合わせる。キッチンと違ってカンカン照りの外でやる訳だからそこら中から汗が噴出し、そこに舞い上がった土埃がくっ付いてドロドロになる………。 
ようやく下準備が完了、表面を平らに均し、水を張ったところで娘が苗を植えた。後はお日様の光と土が乾かないように水に注意してやればいい。

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最初はブツブツ言ったものの、やってみると案外面白かった。バケツの中が小さな田んぼと化している。更にその雰囲気を際立たせるには何が必要か、オタマジャクシだ。
今流行りの空から降って来るオタマジャクシ、我が家のバケツの中に降ってくれたら最高だ。

2009/6/23 火曜日

『マッシュ、終了』

小森陽一日記 16:42:22

6月4日はマイの3歳の誕生日だった。クッキーやケーキには見向きもしないが、ささみジャーキーだけは別だ。見せるとそれだけでハウスに飛び込み、ひたすら貰えるのを待つ。涎をダラダラ零しながら………。だから誕生日にはいつもより多くのジャーキーをあげた。そして全身をブラッシングして、いつも以上に遊んであげた。何を今更何週間も前の事を………、そうお思いになる方もいるだろう。だが、これには訳がある。

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この一ヶ月、犬の話題に中々触れられなかった。いや、触れたくなかったと言った方が正確かな、少年マガジンで連載していた「マッシュGO!!」が先週終了した。3ヶ月という短命連載だった。人気が出ないものは終る、これは僕等の世界の宿命だ。幾ら準備期間が長くても、形となったものがすべてだから。そうは分かっていてもやはり悔しいし苦しかった………。取材に協力して下さった方々や、応援してくださった々には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ………。

僕はこの作品で犬の世界に触れる事が出来た。実に奥深く面白い世界がそこにはあった。そのきっかけとなった「マッシュGO!!」には感謝している。だから、これで終わりにするのではなく、いつかまた新たな世界観を築いて皆さんの前に送り出したい。

短い間でしたがマッシュにお付き合いいただきありがとうございました。心より感謝いたします。

2009/6/16 火曜日

『最近の移動事情』

小森陽一日記 16:40:06

仕事がら東京と自宅のある福岡を行き来している。今月もすでに二度目だ。この10年、そんな生活をしているので随分と旅慣れて来た感じもする。持って行く荷物の選択もお手の物だ。
  
以前は新幹線を利用していたから時間たっぷりあった。DVDにゲーム機に本と、どっさりバッグに詰め込んでいた。バックが三つ、四つになる事もあった。あまりの重さに根を上げ、ホテルから自宅に郵送した事も度々だった。だが最近の移動はもっぱら飛行機、今年に入ってからはすべてそうだ。あんなに飛行機を嫌がっていたのに………、以前のブログを読んだ事のある方はそう思われるかもしれない。そう………、確かに飛行機は苦手だったのだが、どういう訳だかそれほど嫌じゃなくなった。確たる理由があればいいのだが、それもない。ただなんとなくそう思えた。雨降って地固まる、例えは少々おかしいが、怖い怖いという思いがピークに達し、いつのまにかそれがトーンダウンした、そんな感じだ。

羽田~福岡間、乗ってしまえば1時間とちょっとで行く事も戻る事も出来る。1時間ちょっと………、新幹線の5時間を考えればあっという間である。この間何をしているかというと、ゲームだ。『モンスターハンターポータブル2ndG』、自分がハンターとなって未知の生物と対峙し、生死を賭けた狩りをする。最初は基本操作や用語を覚えるのに苦労した。馴染みのない言葉が次から次に出て来て、それをマスターする間もなく狩りに出で、あっけなく憤死………。その繰り返しだった。だから訓練所に赴いた。ゲーム中には初心者向きに物事を教えてくれる教官がいる。動き方、必要なものの集め方、様々な武器の扱い方、そのすべてをこなした。解説書を読むのが大嫌いな自分にとって、これは本当に快挙だった。ちょっとアホだけど、教官の熱心な指導のもとに、ようやく一人のハンターとしてこの世界に踏み出す事が出来た。

「この先、電波を発していない電子機器類はご使用になれます」
アナウンスが掛かるや否や、待ってましたとばかりにスイッチを入れる。夢中になって狩りをしていると喉が渇く。すると絶妙のタイミングで客室乗務員さんが飲み物を持って来てくれる。お願いするのはいつもアップルジュース、ほどよい冷たさと爽やかな酸味が口中に広がり、甦ったように再びゲームに没頭する。するとあっという間に到着だ。

なんだ、飛行機嫌いが直ったのはゲームのおかけじゃないか!
いや、断じてそうではない。前記した通り、なぜだか飛行機が怖くなくなった。だからゲームをするようになったのだ。以前は例えゲームをしていても上の空、少し揺れ出すともう操作が手に付かなくなっていたのだから。

移動の時間も短くて済み、その間は熱中して遊べ、ほどよい興奮状態で仕事に向う。一石二鳥どころか三鳥である。だが、そんな中にも一つだけ悩みがある。このゲームの攻略本が辞書並みに分厚く重い事………。幾ら旅慣れて荷物を削る事が上手くなっても、この本一冊で有に取り戻してしまう。メーカーさん、お願いです。攻略本もディスク化して下さい!

2009/6/9 火曜日

『旅立ちに乾杯』

小森陽一日記 16:47:45

6月はジューンブライドの月、だが、今年の6月は別れの月だ………。

その人は山男だった。親父の部下で度々家にも遊びに来ていた。奥さんと一緒だった事もある。身長はお世辞にも高くはなかった。しかし、全身から気が漲り、子供心に「元気なあんちゃん」という印象だった。中学生の頃、ビデオカメラをその人から借り受け、映画を撮った。カメラとデッキがセパレートの時代、今思えば随分高いものだったと思う。だがその人は快く貸してくれた。そうして出来上がった作品は、僕の映画第1号となった。
………その人が先日亡くなった。心筋梗塞を起こしたという。まだ50代、エベレストまで登った山男が………、しばし絶句した。だが、亡くなった場所を聞いて「そうか」と思った。山だった。しかも人助けをしての末だったそうだ。あの人らしいな、そう思った。

彼女は頑張り屋さんだ。知り合って5年になるのか、驚くほど歳を取らない。いつまでも華やいで綺麗だ。そんな彼女が来月、福岡を離れる。寂しくないと言えば嘘になる。ピョンピョンと跳ねるように歩く独特の歩き方が見れなくなるのも残念だ。お世辞にも広いとは言えない事務所で、お茶を飲みながら世間話が出来なくなるのも………。でも、彼女ならやっていける、そんな確信がある。先日の送別会、ブルーに揃えた服、とても似合っていた。大丈夫、彼女なら立派にやっていける。

最初に会ったのは打ち合わせの席、友人の能楽師さんの講演会、僕がゲストで呼ばれ、彼女が司会だった。凛とした雰囲気、真っ直ぐな瞳、話をする時も笑う時も独特の間がある。いつも呼吸を入れて考える。「それってどういう事ですか?」何度彼女から質問を受けただろう。でもそれが決して嫌味にならない。素直さが溢れているから。そんな彼女からメールが来た。「このあたりで環境を変えてみようかな」、この感じ、彼女らしいと思った。きっと沢山考えての末だと思う。次は一体何をやるんだろう、何かを決めたらまた真っ直ぐに向って行くに違いない。きっとそうだ。

旅立ちに乾杯!俺はいつまでも、どこにいても、応援してるから。

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2009/6/2 火曜日

『サーガは永久に………』

小森陽一日記 17:38:53

栗本薫先生が亡くなられた。すい臓癌だった。まだ56歳………、逝くにはあまりにも早過ぎる………。

僕にとって栗本先生と言えばやはり「グイン・サーガ」である。大学生の頃にグインを知り、そこから延々と読み続けた。ハンドブックやイメージアルバム、画集と揃え、いつも本棚の一番目立つ所にグインは並んでいた。自由に闊達に、己の想像力を広げて創作するという事、誰にも遠慮はいらないんだという事、それを教えてくれたのがグインであり栗本先生だった。

残念ながら小説は100巻を読み終えたところで止まってしまっている。理由は色々だ。自分自身の環境が忙しくなったというのもあるが、展開がスローダウンしてしまった事が一番大きい。物語はやはり旬というものがあるようにも思う。永遠にその世界の住人と付き合っていきたいが、やはり何事にも区切りはある。とは言えこんな事は釈迦に説法、栗本先生は非凡な人だから、そんな事は当然分かっていらっしゃった筈だ。ご自身の区切りも当然見えていらしたと思う。だが、今となってはそれも永遠の謎となってしまった。グイン世界の数々の謎と共に………。

多大な感謝とご冥福を祈りつつ、101巻からの物語を読んでいくつもりである。

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