2008/8/26 火曜日

『さんぽ』

小森陽一日記 17:07:04

毎と夕方、ほぼ毎日の日課。さんぽだ。

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楽しいけど大変、大変だけど楽しい。他所の家の前でウンチ、道路の真ん中でオシッコ、毎回バタバタさせられる………。けど毎回小さな発見がある。
今日の発見は蚊、顔の周り、身体の回りを幾ら飛び回ろうと知らん顔、確かに全身毛だらけだから刺され難いんだろうけど………、それにしてもあの堂々たる態度は立派、妙に感服させられた。
ここ数日、朝晩には涼しい風が吹くようになった。秋の気配を感じる。仕事が一段落したら、ペット同伴のペンションにでも行こうかな。

2008/8/19 火曜日

『小指が痛い………』

小森陽一日記 17:19:58

突然辺りが暗くなったかと思うと、猛烈な勢いで雨が降って来た。僕は2階へと駆け上がり、ベランダに干してある洗濯物を素早く取り込む。その間にも開け放った窓から水飛沫が部屋の中に飛び込んで来る。最後の洗濯物を抱え、窓を閉めようとしたその時、足元から脳天へ突き抜ける様な激痛が走った――――。
『この痛み………知っている………!!』
僕は洗濯物で膨れ上がったベッドに倒れ込んだ………。

以前このブログでも触れた事がある。人体模型キュンストレーキ。彼が夜の小学校で大暴れする新作映画の脚本執筆が佳境を迎えている。発明狂のキュンストレーキと強烈な個性を放つ幼稚園児三人組との壮絶なバトル、面白い作品に仕上がりそうで今から楽しみである。
夜の小学校では大威張りのキュンストレーキ、そんな彼のドジさ加減を表すシーンがある。何かに足の小指をぶつけて動けなくなるのだ。数年前、演出家のT氏が作った短編にも、椅子の角に小指をぶつけて転がるキュンストレーキのまぬけな姿があった。あまりの間抜けぶりにその時は大笑いしたものだが、今回は自分にお鉢が回ってきた………。

ズキズキする。痛みが引かない。歩こうにも足を引きずってしまう。
「もしかしたら折れてるかヒビが入ってるのかも………」
そんな恐怖心があるからだ。マイの散歩にも支障をきたし始めた。
『骨折か打撲かどっちかはっきりしろ!』
確かめる為に近所の病院へ行った。
おじいちゃん先生に導かれてレントゲン室へ。言われるがままに足を動かし写真を撮られる。写真は診察室にあるパソコンのモニターで拡大され、拡大され、ひたすら拡大されて………。そのおじいちゃん先生は凄いド近眼で、遠くに近くに顔を動かしながら何度も写真を眺める。そして………、
「………うん。よか。折れとらん」
よっしゃ!その一言が聞きたかった!!

その日の夕方、湿布を当て包帯をグルグ巻きにして、ルズキズキする足をおかまいなしに引きずりながらマイと散歩に出掛けたのは言うまでもない。

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そうそう、足の方はご心配なく。この話は2週間前の出来事、今はもうすっかりよくなっております。(食中毒の事を書いた時はご心配の連絡を沢山頂いたので……)
ネタが無くなった時のストックの一つでした。

あしからず。

2008/8/12 火曜日

『大好きな赤塚先生のこと』

小森陽一日記 17:19:15

厳粛な美術館、咳払い一つで睨みつけられるような張り詰めた空間………の中でそれは行われた。「赤塚不二夫展」。一歩足を踏み入れた瞬間、笑いが込み上げて来る。だってバカボンパパが、ニャロメが、レレレのおじさんが、イヤミがいる。その真ん中で一番悦に入って笑ってるオッサン、赤塚先生がいるんだから――――。

小学生の頃だ。8月、まだ熱気が抜けない夕方、ランニングシャツに短パンという出で立ちで、畳に寝転がって「天才バガボン」の単行本をむさぼるように読んだ。何時の間にか表紙はどこかに姿を消し、陽に焼けて黄ばみ、何度もめくった為にページには判を押したように指の後が付いていた。そんなボロボロの単行本を広げ、相変わらず同じところで笑う。
「これでいいのだ!」
眼を血走らせ、唾を飛ばし、豪快に鼻毛が揺れる劇画調のバカボンパパ。かと思えば福笑いのようにキャラクターの顔が崩れたり、「今回は左手で描きました」というコメントと共に恐ろしく下手な画が全編を彩る。面白ければなんでもあり、すべて「これでいいのだ!」で片付けてしまう強引さ。
『そうか………、これでいいのか………』
面白いと思った事、やりたいと思った事をどんどんやりなさい、僕は赤塚先生の作品でその事を教えられた。

赤塚先生とはついにお会いする事はなかった。でも、それでいいとも思っている。だって赤塚先生は僕にとって神様だから。神様とはそう簡単に会っちゃいけない。
いつか僕があの世に行ったら、自分の作った作品を抱えてご挨拶に行こうと思っている。その時の為に今は懸命に面白い作品を作ろうと思う。

最後に―――、タモリさんの弔辞は本当に素晴らしかった。
「赤塚先生、本当にお世話になりました。ありがとうございました。私もあなたの数多くの作品の一つです」
聞き終えた瞬間、とめどない涙が流れました………。海がとても大好きなタモリさんらしいとても潔く美しい言葉だった………。

合掌。

2008/8/5 火曜日

『異常気象』

小森陽一日記 17:24:35

最近の移動はもっぱら飛行機だ。もともと飛行機は苦手だが、打合せや取材のスタート時間など早いものも多く、新幹線ばかりには頼っていられなくなった。だから飛行機と懸命に仲良くなろうとしている。座席に座ったら「頼むな………」、ガクンガクンと揺れると「頑張れ………」、着陸したら「お疲れさん………」、必ず小さく声を掛けている。
(たまたま側で聞いた人、至って当人は真剣ですので笑わないように………)

飛行中に窓から空を見ていると、時折とんでもない入道雲を見掛ける事がある。天を突くような勢いで伸び上がり、城壁を思わせるような四肢がどこまでも広がっている。思わず見入ってしまいそうなほどの凄まじい雲の塊である。先日も急にゴロゴロと雷の音がして我が家の窓から外を眺めると、物凄い雲の塊が西の空を覆っていた。あまりにも巨大な入道雲だったので思わず写真を撮ったほどだ。

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娘の友人のパパが旅客機のパイロットさんだ。先日お会いした折、入道雲の話をしたら、
「確かに今年は多いです。4日ほど前も東北が凄かった………。やっぱり異常気象ですね………」
そうおっしゃっていた。
入道雲の中は上昇気流と雷の渦、迂闊に突っ込むと大変な事態になりかねないそうである。飛行機に乗って外を注意して眺めていると、巨大な入道雲を交わして飛んでいるのがわかる―――。

ご存知の方も多いと思うが、12月6日公開の『252 生存者あり』という作品も巨大台風の猛威を扱った作品である。先日、東宝スタジオで最終のダビングが行われ、僕も顔を出す事が出来た。東京上空が鉛色の雲に覆われ、ソフトボール大の雹が降り注ぎ、数十メートル級の高潮が街を飲み込んで行く。凄まじい被害が出たところへ、追い討ちをかけるように台風本体が上陸してくる………。芸達者な役者さん達の火花散る演技と目を覆うようなスペクタクルシーンの連続、何時の間にか全身に力が入り、終わった後は疲労さえ感じたほどだ。それくらい圧倒的な作品に仕上がっていた。

もしもこんな台風が日本を襲ったら――――、考えるとゾッとする………。しかし昨今の異常気象を考えると、あながち空想では片付けられないものがある。あの天を突くような入道雲がいつ巨大台風に成長しても不思議ではない、そう思えて仕方がない………。

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