5年―――。
短く感じる人も長く感じる人もいるだろう。僕は………どうかな、まだよく分からない感じだ。準備期間まで含めて5年という歳月を共にした「トッキュー!!」が、ついに連載終了を迎えた。
(広報室の風景)
色んな場所に行った。色んな人に会った。いろんな事があった。その想い出のほとんどに久保ミツロウがいる。いや、それどころか僕や編集者が知らないところまで取材に出向いていた。
「この前突然久保さんが来て――――」
「久保さんに先日のお礼を伝えて下さい」
週刊連載を抱えながら、これだけ外に出たマンガ家を僕は他に知らない。本当に久保さんには驚かされっ放しだった。だから、最後は僕が驚かせてやろうと心に決めていた――――。
「久保ミツロウに長官表彰を与えては頂けませんか?」
実に僭越なお願いだが、僕はある日、広報室の皆さんに相談を持ち掛けた。「トッキュー!!」を必死になって描いてきた彼女を、どうしても形にして労ってあげたかった。広報室の皆さんは早速検討を進めてくれ、やがてO.K.の返事を頂いた。だがそれだけではなかった。なんとトッキュー基地にて久保さんのお疲れセレモニーをしようという話を逆提案された。これには僕も正直驚いた。
連載終了までのカウントダウン、久保さんの懸命なスパートの裏側で、セレモニーの準備は着々と進んでいく。そして運命の7月18日がやって来た。
岩崎長官から賞状と盾を受け取り、一緒に写真を撮られ、長官室で食事を共にした久保さんはやがてトッキュー基地へ。一人、また一人と隊員達が基地から外へ出て行き、気が付いたら自分一人………。何事かと思ってエプロンに出てみると、ズラリと整列したオレンジ服のリアルトッキュー達が一斉に出迎え、特製メダルと賞状の授与式が行われた。鬼の目にも涙、さすがの彼女も思わず涙を流したのだった………。
(残念ながら僕はこの時別の場所にいて、現場を押さえられなかった。悔しい……)
トッキュー主催のお疲れ会。リアルさん達はもちろん、基地長や専門官、そして広報室の皆さん、お世話になった方々、遠くは新潟から僕等を支えてくれたUさんが駆けつけてくれた。それぞれが僕や久保さん、「トッキュー!!」の想い出を語り、それはもう涙が出るほど面白かった。
最後に僕と久保さんはトッキュー式の滅茶苦茶高い胴上げ(まさに放り投げられる感じ)を受けた。連載終了を胴上げで祝ってもらえるなんて、「トッキュー!!」という作品はほんとに幸せものである。
海上保安庁の皆さん、トッキューの皆さん、本当にありがとう。
マガジン編集部のM編集長、Mさん、Mくん、Tくん、お疲れ様でした。
クボケンのアシスタントの皆さん、最後までご苦労様でした。
そして久保さん、生涯忘れられない5年間をありがとう。一緒に仕事が出来てよかった。ほんとにありがとう!!