『空前絶後の肉体パフォーマンス』
シルク・ドゥ・ソレイユの新作「ドラリオン」を観た。数年前「アレグリア」で味わった圧倒的興奮は、まだ心の中に種火となって燃え続けている。ゾクゾクしながらテントのある箱崎宮へと向った―――。
白と青のストライプに彩られた巨大なテントを見ると、あぁ………、またあの興奮が甦ってくる。音楽と光、そして、到底人間業とは思えない怒涛のパフォーマンス、一度でもシルクのステージに触れると虜になってしまう事請け合いだ。
のっけから総毛立った。「シングル・ハンドバランシング」。女の子がステージの中央に伸びたステッキを掴み、片手で倒立する。それだけでも目を見張るのに、パフォーマンはここからがスタートだ。片手で全身を支えながら、開脚、身体を左右に捻り、挙句にあり得ないような体位となる。それでも女の子は微笑んだまま、まるで重力を無視したように華麗に変化し続ける。
「ダブル・トラピス」はユニゾンの空中ブランコ。彼等が空中を舞う度に、一体何度ハラハラして声を上げ、賞賛の拍手を送った事か………。
「フープ・ダイビング」、丸い大小の輪を獲物を狙う肉食獣のようなしなやかさで潜り抜けて行く。リズムに乗って飛び跳ねるその姿は、人であって人でない。まさに超人なのだ。
どうしてあんな事が出来るんだろう………。もちろんズバ抜けた才能の持ち主が死ぬほど努力を重ねたからに違いない。それはそう、それはなのだが、でも………、どうしてあんな事が出来るんだろう………。シルクの舞台にはいつも、根底にある人間の凄味みたいものを感じる………。
今回もお腹いっぱい楽しんだ………。「ドラリオン」、そしてこの次は一体何を見せてくれるのか?既にその時が来るのを楽しみにしている自分がいる――――。
※ 「ドラリオン」福岡公演 6月15日(日)まで。
未見の方は是非!!