『ROPPONGI天空大作戦』
師走の東京、朝晩はかなり冷え込みがきつかった………。2泊3日で上京し、打合せに現場の顔出しにと忙しく駆け回った。そんな中、ポカポカと心地よく楽しめたのがこの催し、「ウルトラマン大博覧会 ROPPONGI天空大作戦」である。
中々凝った作りのレセプション案内状が届いたのは先月。だが、中を開けて愕然とした。レセプションの日と自宅の引越し日がぴったりと重なっていたのである。これはもう如何ともし難い。泣く泣く出席を諦めた………。
「一つひとつ目を通していけば、軽く2時間はかかりますよ」
円谷プロのK氏が言った通り、中は見応え読み応え、まさに宝の山だった。キャプションもさる事ながら、ガラスケースの内には脚本家や監督、雑誌編集者達が書いた手書きの生原稿がびっしりと並んでいる。メモ書き、注意書き、ト書きに覚書、デザイン画に落書きと当時の息吹がケースを通り越してビリビリと伝わって来る。これらはすべてウルトラの製作過程を示す歴史の証文、時間を気にせずじっくりと読み耽けり、創作の秘密に触れてみたいと思った。
美術館の一角に目を止める。昭和をそのまま移して来たような部屋のセット、あきらかにそこだけは異空間と化している。それもその筈、その部屋は実相寺監督の自室の再現なのである。古めかしい本棚に詰まった英字のビデオ、黄ばんだ背表紙の本、使い古された小さな机には年季の入ったワープロが置いてある。じっと見つめながら、色んな事を思い巡らせた。鬼籍に入られて一年、会えるチャンスをことごとく逃してしまった事が残念でならない………。
夜は中目黒で円谷プロの森島社長や桜井浩子さん、K氏やKさんと食事、博覧会はもちろんこれまでの事、これからの話で大いに盛り上がった。いつの日か僕も、ウルトラの歴史に名を連ねてみたい――――。