2007/5/29 火曜日

『犬の訓練所』

小森陽一日記 19:08:28

我が家の愛犬「マイ」。6月8日で満1歳になるメスのボーダーコリーだ。この犬種、頭が良くて優しくて無駄吼えしないと聞いていた。だが、いざ飼ってみると言う事聞かない、所構わず噛み付く、相手をしないとギャンギャン吼える………。僕が聞き違いをしていたのか、それともこの「マイ」だけがスペシャルワンコなのか、まるで違う反応に戸惑いまくり、家族全員思いっ切りナーバスになっていった………。そんなある日、その人はやって来た。全身から犬の匂いを漂わせながら―――。

自らも訓練士であり、訓練所の所長でもある撰田さんは、この道数十年の大ベテランである。「マイ」を見て、暫くボールで触れ合って、そしてこう言われた。
「あぁ、この子はシャイですね………」
シャイ。恥かしがり屋で気難しくて気分屋さん。乗ると抜群に言う事を聞くものの、気に入らないとどれだけ呼んでも知らんふり。まさにその通りだった。さっきまで撰田さんの掴んだボールに夢中でじゃれてたのに、今はもう椅子の足を噛むのに必死である………。
「犬にもそれぞれ性格があります。シャイはこの子の持って生まれた性格。でも、それを矯正なんてする必要は全然なくて、いい所をどんどん伸ばしてあげればいいんです」
その言葉を聞いた瞬間、気持ちがフワッと軽くなった―――。

「マイ」は今、訓練所で生活している。月に数度、家族も通って「マイ」の訓練の成果を見たり、一緒に散歩をしたり、広場で遊んだりしている。この数ヶ月で「マイ」が一番変った所は、いつも僕等の顔を見るという事。呼んだ時はもちろん、散歩をしていても時々振り向いてはじっと顔を見つめてくる。
「歩くスピードはこれくらいでいい?」「まだ先に行っていい」「疲れた?」 
つぶらな目でいろんな事を尋ねて来る。それがもう愛おしくて堪らない。こんな気持ちになるなんて、飼い始めた頃には想像も出来なかった………。
  
後数ヵ月で訓練は終わる。我が家で一緒に暮らすのが今は心から楽しみだ―――。

2007/5/22 火曜日

『プロ』

小森陽一日記 17:41:41

プロはカッコいい。どんな世界でも、そこでプロとして立っている人はカッコいい。

先日、能楽師の鷹尾維教さんに「バーベキューをしますからご家族でどうぞ」と自宅に招かれた。お父さんの祥史さん、弟さんの章弘さんも能楽師というお能一家だ。
赤いパンツに中折れのソフト帽を被り、赤いトランクバックを持って飲み屋に現れ、おもむろにパイプに火を付ける男、初めて会った時はまさかこの人が能楽師だなんて思いもしなかった。しかし――、である。舞台に上がって舞い出した鷹尾さんの姿を見た瞬間、痺れた。朗々とした重低音ボイスがズシズシと身体を押して来る。呆然と見つめていた。目の前にいる人はまさしくプロだった―――。  
鷹尾さんの自宅にはホークスの小久保さんと倉野さんの家族も招かれていた。僕がいい気持ちになってビールを煽っても、小久保さんは一切飲もうとはしなかった。ひたすらにミネラルウォーターのみ。「酒を断つと身体が軽くなりました」と笑って言った。酒だけじゃない。何気に食べている食事でも自分を律し、きっちりとコントロールしていた筈である。次の日、僕はドームで試合を観戦していた。5回、小久保さんはレフト中段まで飛ばす3ランホームランを打った。場内は総立ち、割れんばかりの歓声が巻き起こる。ゆっくりとダイヤモンドを回る背番号9、その姿を見ていて、やはり痺れた。プロだと思った………。

どんな世界にもプロはいる。そして、プロとして立ち続けるのは自分との戦いの連続である。それを乗り越えて立つ姿――、どう考えてもプロはカッコいい。

2007/5/15 火曜日

『上京』

小森陽一日記 13:59:19

毎月、一度は上京する。細々とした打ち合わせは電話で済ませるが、例え30分でも直接会って、顔を見て話さなければならないものもある。一体それはどんな重要なものなのか、今回は特別に上京時の過ごし方をご紹介しようと思う。

今回は2泊3日での上京だった。

木曜日、映画プロデューサーS氏と夕食を共にしつつ談笑、新しい企画や業界の裏話を肴に杯を重ねる。その後、「海師」の担当Kくんと合流し、3人で六本木へ移動。

そこで、某マネージャーのFさんやスピリッツの編集Mさん、「トッキュー!!」の担当Sさんと合流して楽しく盛り上がる。

金曜日、お昼前、池袋のメトロポリタンホテルで円谷プロのK氏と桜井浩子氏と待ち合わせ、昼食を共にする。桜井さんはご存知、江戸川由利子でありフジアキコであるその人である。その後講談社に移動、「トッキュー!!」の打ち合わせ。S、T両編集者と久保のみっちゃんと共に今後の展開などを話し合う。そして小学館へ移動、「海師」メンバーと共に夕食を取りつつ飲む。編集のKくん、元トッキュー隊長のIくん、武ちゃん、そして秘密のお一方と共に大いに盛り上がる。

土曜日、帰福。トロトロと寝てばかり。頭が働かない………。

2日間の睡眠時間は約6時間、飲んでる時間は15時間以上、寝る時間の倍以上、下手すると三倍くらいの時間飲んでる事になる。あんた、何しに東京に行ってんのと思われる方もいるかもしれない。でも、これが大切なものなのだ。会って話して飲んで、その人の今を感じる事。電話や手紙やメールではわからない、その人の現状、それを互いに見せ合う事で仕事が前に進んで行く。どんなに時代が進んでも、人間関係はやっぱりアナログなんじゃないかと思う。

―――でも、会計処理をする妻には言い訳に聞えているのかもしれないけど………。 

2007/5/8 火曜日

『口上~決意表明のようなもの~』

小森陽一日記 23:17:55

先日、40歳という節目を迎えた。不惑の年だと言う。「不惑」、辞書を引くと迷わぬ事、40歳の別称となっている。いやいやどうして、新聞やテレビを見ると、40代の迷える子羊達が引き起こす事件が連日引きも切らない。昔の人より現代人は大人に成りきれてないという事か。果たして自分はどうだ………?
  
年齢の話に加えてもう一つ、40歳の手習いを始める事にした。ホームページだ。正直自分のページを持つ事にこれまでまったく興味はなかったが、同姓同名の大学教授と間違えられる事がしばしばあったり(これは向こうの方も同じだと思う)、飲み屋さんで知り合った怪しい人が実はホームページを作る会社の社長さんだったり、そう親しくない人に、「今時ホームページも持っていない作家さんなんているんですね」と笑って言われカチンときたりして、立ち上げるタイミングが来た!と判断した訳である。こういうのはとかくタイミングが大事だと思っている。
とまぁこんな理由で始めた訳だが、始めたからには楽しみつつ、また楽しませたいと人並みにそのような事を考えている。なんとも温い決意表明だが、これを口上に変えさせて頂きたい。皆さん、どうぞよろしく―――。

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