2009/4/7 火曜日

『クラッシュは突然やって来る』

小森陽一日記 10:08:05

一週間くらい前から動作がおかしいと感じていたが……、その朝は無視、何をしても一切無視、ついに地蔵と化してしまった。
「この忙しか時になんばしよるとや!」
叫んでみても地蔵になったパソコンは応えてくれない……。

パソコンを使って仕事をするようになって約10年、これで3台がクラッシュした。
「パソコンは3年持てば御の字」とか、「パソコンはすでに消耗品」とか、「メーカーはクラッシュする時限装置をセットしている」とか、色んな怖い噂を耳にする。
今回のパソコンは4年持った。比較的長生きしてくれたという事か……。いや、そんな事はどうでもいい。兎に角パソコンがないと丘に上がったカッパ状態、原稿も書けず、メールも確認出来ず、どうする事も出来ない。

1度目、2度目の手痛い失敗で学んだおかげで、創作物は外付けのハードディスクに入れてある。だから、新しいパソコンを買ってくれば、すぐに元通りの作業環境になる筈である。善は急げという事でNくんに御足労頂き電気店へ。どれにしようかと迷う事なく即断即決、すぐに新しいパソコンを抱えて仕事場に戻った。Nくんの会社の新人くんも駆けつけてくれ、初期設定に取り掛かる……取り掛かる……取り掛か……、
「あの……、小森さん、ハードディスクが動きません」
「……それってどういう」
「このパソコン、壊れてます」
「ぬわぁにぃぃぃぃぃ!!!!」

『4代目、買った先からお地蔵さん。チーン……』

速攻で電気店に電話すると、「代金そのままで新しい機種をお持ちします!」との返事。翌日、5代目のパソコンが仕事場に届いた。再びNくん達に御足労いただきセッティングしてもらう。今度はきちんと立ち上がった。
「よっしゃ!」
だが、勢いは長くは続かなかった……。悪名高いOS、ウインドウズビスタを搭載した5代目、XPとのあまりの違いに悪戦苦闘するハメに。おまけにログオフなんて「いつまでかかっとるんや!」と叫び出したくなるくらい遅い……。もう踏んだり蹴ったりである……。

来週、電源周りの修理を終えた3代目が仕事場に帰還する。もちろん3代目に職場復帰してもらうつもりである。

2009/3/31 火曜日

『PL62、出航!!』

小森陽一日記 16:57:55

「はかた」と名の付く船の就役式に出席したのはこれで二度目である。一度目は10年ほど前、白い船体にPL05と番号の付いた初代「はかた」だった。

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この初代「はかた」は実に想い出深い船である。「海猿」を書いていた頃、潜水士の取材や資器材、特にチャンバーの扱い方などはこの船の甲板でレクチャーを受けた。「トッキュー!!」や「我が名は海師」を書いている頃も、船長の話を聞きに行ったり、ヘリレスキューの様子を見たり、火災船の消防活動の映像を貸して頂いたり。ご飯を頂いた事もあれば、家族で船内を見学させて頂いた事もあった。そして映画「海猿」にはこの船が撮影に使われた。僕の創作活動で一番お世話になった船だと言ってもいい。そんな初代「はかた」は先日船名を「でじま」と変え、新たな赴任地へと旅立って行った。そしてやって来たのがPL62「はかた」である。

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初代よりも大きな新生「はかた」、これから大海原を駆けて様々な活躍をしてくれる事と思う。心からエールを送りたい。

「ガンバレ!PL62はかた!!」

2009/3/24 火曜日

『右を見ても左を見ても………』

小森陽一日記 11:35:53

この日、帝国ホテル孔雀の間は華やかだった。右を見ても左を見てもそうそうたる顔触れ、マンガ家、原作者、歴代編集者が一同に集った。週刊少年マガジンと週刊少年サンデー創刊50周年、講談社と小学館が手を組み、大同窓会を行ったのである。

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日頃、あまりパーティには出席しない僕も、編集長の厳命で重い腰を上げた。広間に行ってみると、いるわいるわ、本当に豪華なメンバーだった。すっかり一ファンと化して、隅っこで呆然と眺めているしかなかった………。

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創刊50周年、半世紀の間雑誌が続いた事は、ここにいるマンガ家、原作者、編集者が身を削って作品を作ってきたからである。そして読者の皆さんがそれを受け止め続けてくれた結果である。まったく幸せな関係だと思う。そんな事を想っていると僕の隣で編集さんが呟いた。
「次の同窓会、100周年にはここにいる人達のほとんどがいないでしょうね……」
僕も50年後には91歳、どう考えてもこの場に集う事はないだろう。そう考えてみればとても歴史的なイベントに参加させて頂いたという事だ。大切な記憶の一つとして大事にしていきたい。

2009/3/17 火曜日

『マケット』

小森陽一日記 11:23:01

マケット、即ち彫刻である。デザイン画を元にして粘土で立体物を造る。そうする事で画では見えない部分が立体的に見えて来る。これを取り込んでデータ化し、CGを作っていく訳だ。『トイ・ストーリー』のバズ、『バグズ・ライフ』のホッパー、『Mr.インクレディブル』のヴァイオレット、ピクサーのキャラクター達もこうやって生み出された。

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キットが大好きな僕としては、マケットのチェックは至福の時だ。立体化されたキャラクターは実に生きいきとして輝いて見える。「早く動かして!」とせっつかれている気さえする。まだ詳細を公表するにはいかないのが残念だが、僕が脚本を担当させていただいた新作映画のキャラの一部である。スクリーンの中で彼等が大騒動を起こす様を一日も早く見てみたい。どうか皆さんもその日をお楽しみに!!

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2009/3/10 火曜日

『ドーム侵入禁止』

小森陽一日記 10:12:25

先日、「マッシュ」の原稿をバタバタと終らせてドームへ向った。オープン戦を観る為である。

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この日は秋山新体制になって初の本拠地、新生ホークスのドームお披露目であった。
対する相手は知将野村監督率いる楽天イーグルス、近年めきめき実力を付け、もう昔のお客様のイメージはない。どころか苦手意識すらある手強いチームである。僕は3回途中から球場に入った。すると………、「カキーン」という実に気持ちのいい快音を響かせて白球がスタンドに吸い込まれていく。楽天鉄平のツーランホームランだった。そこからあれよあれよの釣瓶打ち、気付けばこの回6失点のビッグイニングとなった。
「小森さんが来た途端試合が動いた」
そう言われるのは分かっていた。自分でもあまりの間の悪さに唖然としていたから。
「疫病神なんじゃない」
そう言われても返答のしようもない………。

以前から試合の勝ち運がない。そんなに頻繁にドームに行く訳ではないのだが、行くとこてんぱんに負ける。「今日はシーズンに一度、あるかないかの負けだ」、王監督がそんなコメントを出した最悪の試合も観客席にいた。この日も結果は6-0でホークスの完封負け。大勢詰め掛けていたお客さんもジェット風船を上げた直後、津波のように帰って行った………。

今シーズン、開幕すらしていないのに僕のドーム行きは早々と終了した。選手とファンの皆さんに申し訳が立たない。運のない奴はテレビの前でそっと応援する事にします………。

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