2010/3/23 火曜日

『今年もサクラサク』

小森陽一日記 14:19:22

「サクラサクころに ありがとう 心から キミに伝えられるよきっとまた心配かけても 笑顔で迎えてくれるでしょ?」

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―――と、北乃きいちゃんが透明な声で唄ってる。そう、今年もまた桜が咲き始めた。こちら福岡は七分か八部咲きといったところ、満開まで後数日という感じだ。しかし、北海道は札幌の最高気温は1℃だって………。寒い………、まだまだ冬真っ盛り、桜なんてイメージも出来ないだろうな………。

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お寒いと言えば本日のホークス、16対5ってなんですか?1回に4点、2回に10点って………、開幕して三試合目、確かに144分1の事かもしれんが、こんなお粗末な試合やってたら「今年も優勝は厳しいバイ!」と言わざるをえませんな! 地元に戻って仕切りなおして頑張れ!!暖かいしね。

さて、時々耳にする女性陣の質問にこんなものがある。
「男ってどうしてそんなに野球が好きなの?」
ビールと摘みとナイター中継、これは世のお父さんの三点セットだ。何を譲ってもこれだけは譲れない、そんな男性陣も多いだろう。さて、女性の皆さん、この本を読めば少しはその謎(気持ちかな)が解けるかもしれない。伊集院静さんの「ぼくのボールが君に届けば」と「駅までの道をおしえて」、野球好き、野球バカ、野球愛………、様々な角度から人と野球が語られていて、誰かの下手くそな言い訳を聞かされるよりよっぽど心に響くと思います。お試しあれ。

2010/3/16 火曜日

『生について』

小森陽一日記 14:55:16

「ハート・ロッカー」を観た。2004年イラクの夏を舞台にした、アメリカ陸軍爆発物処理班の物語である。穴凹だらけの路上、強い日差しの下風に煽られて砂塵とゴミが舞い、イラク人が家の窓や柱の影から冷たい視線を投げ掛ける………。そんな中、毎日毎日、ただ淡々と爆発物処理班は爆弾を解体し続ける。ゴミの中、瓦礫の隙間、土の中、自動車のトランク、子供の死体の腹の中、生きた人間………、いたるところに爆弾があり、爆発したら確実に死が訪れるという最中、今日も彼等は淡々と爆弾を解体する………。

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生あるものには必ず死が訪れる。そして死はいつ訪れるか予想はつかない。何十年も先かもしれないし、30分後かもしれない。誰にも分からない。しかし、爆発物処理班は違う。死が予測出来る。解体に失敗すれば即、「死」………なのだ。確かに英雄的な行為なのかもしれない。しかし、どこか淀んだ目をして、酒を飲み、タバコを吹かし、同僚と殴り合いをしてヘラヘラ笑う主人公を僕は好きになれなかった。映画を観ている間中、ずっと心がザラザラしていた………。先日こんな本を買った。「超訳 ニーチェの言葉」、ドイツの哲学者ヴィルヘルム・ニーチェの簡潔な言葉が並んでいる。その中にこんな一文がある。

少しの悔いもない生き方を
今のこの人生を、もう一度そっくりそのままくり返してもかまわないという生き方をしてみよ。
                      ???? 「ツァラトゥストラはかく語りき」

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爆発物処理班、彼等はもう一度そっくりそのまま今の人生をくり返しても構わないと思うだろうか………?そんな事は絶対にない、と思う。誰一人として自分の死が予測出来る、そんな人生を送りたいわけがない筈だ。つくづく戦争はイヤだ………。正義の戦争などと言っている奴が一番嫌いだ。そんなもの、どこにもあるわけがないじゃないか。あるのは「死」のみだ………。

第82回アカデミー賞、作品賞、監督賞、脚本賞などなど主要な賞を総なめにしたこの「ハート・ロッカー」、同じく主部門でノミネートされていた「アバター」はそのほとんどを「ハート・ロッカー」にさらわれた。アカデミーのSF嫌いは今に始まった事ではないので驚く事は何もなかったが、出来れば作品賞は「アバター」に獲って欲しかった。「アバター」は物語だ。しかも純粋な「生」の物語。人間の想像力を駆使して出来上がった最新の映像で、太古の昔から存在する純愛を描いた物語、僕は圧倒的にこっちが好きだ。

2010/3/9 火曜日

『ワンパラ』

小森陽一日記 15:58:00

今年もJKCの訓練競技会が行われた。先週上京した時もそうだったんだが、汗ばむくらい暖かくなったかと思えば、マフラーにコートでフル装備が必要なくらい寒くなったりする。それが一日おきに訪れるから堪らない………。しかして開催日の天気は生憎の底、冷たい北風がビュービュー吹きつけるそりゃもう震えるような一日だった………。

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右を見ても左を見てもグラウンドには犬、犬、犬………。自慢の愛犬達が一同に介し、あちこちで飼い主同士の犬談義が咲き乱れ、駐車場に停まった車の隅やテントの陰にはビニール袋に包まれたウンが、これまたほかほかと狂い咲きしている始末。 
競技会に行って毎回思うのは、「犬好きな人ってこんなに沢山いるんだ………」と言う事。老いも若きも性別も関係なく、話し掛けたり撫でたり触ったり、泥んこの足でジャケットやジャンパーに判子を押されても、ヨダレやら抜け毛やらをマフラーに付けられても怒る人はいない。まさにワンワンパラダイスだ。

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出発時間の若干の遅れと、カーナビの誘導ミスと、悪天候による競技の迅速化の為、なんと愛犬マイの本番には間に合わなかった………。代わりに応援したのは、マイと一緒にずっと訓練を行っているパピヨンのアロンくんだ。S訓練士の動作を食い入るように見つめて歩いたり座ったり跳ねたり、そりゃもう頑張っていた。アロンくん、お疲れ様でした。

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マイは全10科目中7科目まではパーフェクトだった、らしい。しかし、絶好調の時には大ポカもする。そのポカが出て表彰台には届かなかった………。ただ総合点数は高く、沢山ポイントも頂いたという事だ。

訓練となるとほんとに目の色変えて喜ぶマイ。遊びの途中に訓練を混ぜると見違えるほど機敏な動きを見せる。あのキレの良さは見ていてこっちも気持ちがいい。これからもマイの好きな事を支えてやろうと思う。

2010/3/2 火曜日

『死の装飾』

小森陽一日記 15:33:22

週末、2つの催し物に出掛けた。図らずも、どちらも「死」を扱ったものだった。誰でも生まれたら必ず死ぬ。凡人だろが偉人だろうが貧乏人だろうが王様だろうが。死………、自分にはどんな死が訪れるのだろう?死んだ後はどうなるんだろう?様々な死のイメージ、時を越え、人種を越えて表された2つの死の装飾に惹き付けられた―――。

一つは「トリノ・エジプト展」、薄暗い館内に古代エジプトの彫像がズラリと並んでいる。それは王の坐像であったり、時を刻んだステラ(石碑)であったり、色とりどりの図柄が施された棺であったり………。中でも古代エジプト特有の美しい棺には心奪われるものがある。再生と復活―――、古代エジプト人が信じていたオシリス信仰、その事を信じて墓が作られ、遺体はミイラにされた。死は眩しいほどに飾られ、次なる生を待つ。終わりではなく永遠に輪廻していくというイメージ………。途端に死が怖くなくなっていく。これは凄い事だと思う。

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もう一つは「コルテオ」、楽しみに待っていた甲斐があった。これまでシルク・ドゥ・ソレイユの作品を3本観劇したが、オープニングから一気に心奪われたのはこの「コルテオ」だった。
クラウンはベッドに横たわり、自分の葬儀を思い描く。楽団の音楽が鳴り響き、頭上から天使達が舞い降り、様々な参列者がクラウンに話し掛け、時にはベッドを踏み越え通り過ぎて行く。華やかなで賑やかなパレード、死を悼むという葬儀の場がどこかお祭り騒ぎじみて、猥雑で奇妙な心くすぐられる世界になっていく………。

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死を飾る―――。人であるから、生きているからこそ、人は死を飾る事にしたのかもしれない。自分が死んだ時、寂しくないように………。僕はどうしよう、すべての怪獣キットを連れて兵馬俑みたく賑やかにやろうかな。何千年も経って僕が土の中から見つかった時、怪獣キットに囲まれているのを見たら、その時の人はなんと思うだろう?シシシ………これは中々面白そうだ。

2010/2/23 火曜日

『竹馬の友』

小森陽一日記 14:12:49

同級生と酒を飲むのはどこか気恥ずかしい。それが大暴れをしていた高校の同級生ともなると尚更だ。「あの頃お前はこんな事をした」、「こんな事を言った」、「こんな風だった」………、こっちはそのほとんど覚えていないのに周りはしっかり覚えている。まったく堪らない………。

以前にも書いた事があるかもしれないが、未だ同窓会なるものに出席した事がない。40歳を越えたら出ると言ってはいたものの、自分のやらかした事が多過ぎて目眩がしそうなのと、色んな奴の事をさっぱり忘れてるのと、やっぱりなんだか照れ臭い。「おぅ、久し振り」って言うのがなんとも気恥ずかしいのだ。

先日会った友は2人、1人は様々な企業のコンサルタントをしたり、大学の客員教授をしたりと全国のみならず世界を飛び回っているM、高校の頃はスマートだったが、今はどっからどう見ても社長としか考えられない恰幅の良さである。もう1人は公人だし名前を出しても叱られないと思うが、松尾剛と言う。NHKのアナウンサーだ。数年前は「おはよう日本」のメインキャスター、今は福岡放送局に転勤して夕方の番組を担当している。剛がアナウンサーをやっていると知った時は本気で仰天した。高校時代、そんな希望を持っているなんて聞いた事がなかった。(もっともアナウンサーになったのは成り行きだったそうだが………)

「俺は緊張しいの人見知り」
そう本人は言う。しかし、我が家に初めて遊びに来て、なんの遠慮もせずに居間に座り、堂々とラーメンを啜っている姿からは緊張や人見知りのカケラも感じられなかった。ちなみにMの方は、我が家に来て寝ている僕を待つ間、朝っぱらから焼肉を食わされた事があるそうだ。お袋はえてしてそういう事をする。

久し振り再会は楽しい反面やはり気恥ずかしかった。抜群の記憶力を誇るMの想い出話しに冷や汗を掻きながら大いに飲んだ。そして最後に剛とこんな約束をした。
「剛、いつか紅白歌合戦の司会しろよ!」
「そん時は陽一、審査員で出てくれる?」
「おう、もちろん!」
未来に向かってのこういうバカな約束は大好きだ。何年掛かるか分からないが、いつか実現させようと思う。そん時はまた大いにバカ言って笑いたい。

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