2010/12/21 火曜日

『上京締め』

小森陽一日記 11:22:54

先日、今年最後の上京をした。いやぁ、振り返れば今年もよく東京に通ったものだ。ラストは2泊3日、打ち合わせあり、忘年会あり、謝恩会ありの盛り沢山―――な筈が、夕方着いて翌朝にはとんぼ返りとなってしまった………。

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というのもここのところの体調不良のせい。風邪とかノロとかという流行りものではなく、疲れと飲み過ぎとストレスから来る首痛、肩通、腰痛、それに伴う内臓機能低下が原因である。全身ゴリゴリで血流が悪く、胃も肝臓も腸もへとへと、おかげで身体のあちこちが腫れたり痛んだりしてとうとうダウン寸前………、なんとも残念な締め括りである。

しかし、ここで持ち前の意志の強さが発揮される(自分で言うか?)。スパッと酒を断ち、睡眠をしっかりと取り、風呂に入って血行を高め、きちんと胃腸薬を飲む。この忘年会シーズンに酒断ち、夜更かし断ちは相当口惜しいが致し方ない。ネオンを横目に必死で不摂生を戒めたおかげで、今は随分と回復している。

今年も残す所2週間を切った。月曜には集英社のTさん達が、ラストの週には小学館のKくんや藤堂くん、ツインズジャパンのSさんらが来福する。来年もベストパフォーマンスを披露する身だ、しっかりと体調管理はしていこうと思う。

2010/12/14 火曜日

『音を楽しむ』

小森陽一日記 10:03:50

日曜日、娘の音楽発表会を聞きに出掛けた。その名も「ジュニアオリジナルコンサート」、そう、オリジナルの名が示す通り、出席者全員が自分で作曲した曲を披露する。幼稚園から始めたヤマハのエレクトーン、小学生でのラストコンサートを見事に飾ってくれた。

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それにしても凄い子っているもんだ。8歳の男の子、ピアノに向かうや鍵盤を見事に操って音を紡いでいく。9歳の女の子が作ったメロディの美しい事。11歳の女の子が奏でる艶やかな調べ。今年も存分に驚嘆させられた………。

「アマデウス」という映画をご存知だろうか。巨匠ミロシュ・フォアマンがメガホンをとったモーツアルトの生涯である。そこに出て来るモーツアルトは下品で、女好きで、がさつで、下衆である。しかしひとたびピアノに向かえばそれは一変する。
本物の天才を目の当たりにし、誰もが言葉を失い、最後には何もかも忘れて惜しみない拍手を送る。

モーツアルトは宮廷音楽家サリエリのメロディを一度聞いただけで記憶し、軽やかに弾き、やがてそれを自分の世界に引きずり込んで別次元のメロディへと昇華させてしまう。同じような事を今日の出演者である子供達もやってのけた。モチーフを聞き、記憶し、即興で演奏して素晴らしいメロディを披露してくれた。本当に素晴らしかった。

娘がエレクトーンを弾いていると、僕は自然と頭が下がる。巧みな指使い足使いで演奏をし、頭に浮かぶメロディを?げ、それを五線譜に書き連ねている。僕には何一つ真似出来ない。この時ばかりは大したものだと思う。

中学生になっても音楽は続けるようだ。正直嬉しい。次はどんな曲を演奏してくれるのか、楽しみだ。

2010/12/7 火曜日

『名刑事とは』

小森陽一日記 13:10:01

我が家のリビングには読み掛けの雑誌や本を立掛けるラックがある。そこには最近観た映画のパンフレットやスポーツ、グッズ、時事ネタなどの各種雑誌、画集など色んなものが置かれる。最近、そこに読み掛けの本を立掛けていたら、娘から「怖いからどけてくれ」と言われた。そんな事を言われたのはシネフェックスの「アバター」を立掛けておいた以来である(こっちを向いたネイティリの目が怖かったらしい………)。その本とはこれだ。尋常ではないほど眼光鋭い男の眼差し―――、警視庁捜査一課の名刑事と謳われた平塚八兵衛氏の「刑事一代」である。

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平塚八兵衛、もちろん名前だけは知っていた。警視庁捜査一課の叩き上げ刑事、「落としの八兵衛」は有名だから。昭和の時代を震撼させた数々の事件を担当し、退職するまで現場一筋を貫いた人………、しかし、その人となりはテレビの特集などでサラリと取り上げられたのを見た程度、ほとんど知らなかった。

この本はサンケイ新聞社会部の佐々木嘉信氏が、平塚氏と直に相対して聞き書きをする事によって仕上がっている。事件のあらましや捜査の裏が分かるだけでなく、平塚氏のべらんめぇ口調がありのままに収録されている為、まるで肉声をテープで聞いているような生々しい錯覚を受ける。これがなんとも凄い。世の中に警察を扱った本は数あれど、刑事の息吹を感じさせてくれる本はそう多くはないと思う。

平塚氏は捜査の途上で疑問に思ったら突っ走る。たとえ上層部から異論が出たとしても立ち止まらない。食って掛かる事だって度々だ。そこには組織の和とか出世とか生半可なものは一切ない。微塵もない。あるのはホシを挙げる、被害者をどん底に叩き込んだ憎っくきホシを裁きの場に引きずり出す、それだけだ。

刑事とは何か――――?
この本は平塚八兵衛という1人の刑事の魂を通して、その一端を僕等に垣間見せてくれる。ただこの本、初版が昭和50年11月発行となんせ古い。興味のある方は「三億円事件」を新たに収録した新潮文庫の方をお勧めする。

2010/11/30 火曜日

『絵描きさんの線』

小森陽一日記 11:03:07

いつも思う。絵描きさんの線ってどうしてあんなに生きてるのって。サラサラ描こうが熱心に描こうがガハハとしゃべりながら描こうが全部生きてる。紙に線を引いた瞬間に「あ、違う!」って思えるもんな。一体どうなってんだろう………。だから絵描きなんだけどさ――――。

存知の方も多いだろう。山口晃氏、古典的で日本画風でそれでいて現代っぽくて、有機的なのか無機的なのかさっぱり分からない不思議な世界を描き出す画家。何かのドキュメント番組で山口さんの画を見た瞬間、どっぷり惚れた。電気が走ったみたいな衝撃だった。「面白ろスゲェーっ!!!!」て………。それまでにあんな画、一度も見た事なかったもんな………。ほんとにビックリした。

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画集に収録された画はルーペなしじゃ判別不能なくらいの緻密、細密、繊細の嵐。ほんとによくぞここまで描き込みましたというくらい事細かに描き込まれている。感動を通り越して呆れ帰ってしまうくらいの線なのだ。ところがどっこい、これがエッセー漫画となると一変する。実にテキトーな感じでサラサラポリポリと描いてある。自画像はともかく、奥様の顔なんか○顔に丸い目、髪は実にいい加減にペッペッとペンを走らせただけ。そりゃヒドイ。同じ人が描いたとは思えないほどのひどさだ。しかも僕は仕事柄、マンガのネームを山ほど読んでいる身である。まぁ山口さんの描いたコマ割の読み難い事といったらない。だが――――、やっぱり線は生きてるのだ。ほんとに活き活きしていて、気が付いたら山口夫妻の日常にどっぷりはまって大笑いをしている………。まったくなんて絵描きさんなのだろう………。ほんとに大好きな絵描きさんなのだ。

僕もこんな人達の真似をしてたまにペンを走らせる事がある。こういう事するのは旅先が多い。先だってのクウェート・エジプト旅行でも手帳にボールペンで沢山画を書いた。見返すと無駄な線ばかりで心の迷いが透けて見える………。40歳にして迷わずじゃなかったのか?だが、こういう事は隠していても上達しない。だから恥を忍んで蔵出ししようと思う。いつの日か、生きてる線を描きたいからね。

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2010/11/22 月曜日

『近頃やたらとハイボール』

小森陽一日記 14:56:24

コンビニで、居酒屋で、料亭で、バーで、近頃ハイボールばかり飲んでいる。ハイボールとはご存知ウイスキーのソーダ水割り、どことなく甘く、味わいはさっぱりしていて、レモン汁を垂らすと一層後味がすっきりする。

小雪さんがCMで「ウイスキーがお好きでしょ」と唄っていた時、まだまだ気持ちはビールにまっしぐらだった。やたらとハイボールを飲みだしたのは回りの人達に下腹の肉を摘ままれるようになってから………。例のビールを止めてダイエットする!と決意してからの事だ。

コンビニで売っているハイボールを色々と試す。サントリーの角ハイボール、同じくトリスハイボール、アサヒビールのブラックニッカ クリアハイボール、宝のハイボール、キリンの世界のハイボールなどなど………、どれもそれぞれの味わいがあって美味い。しかし、飲み続ける内に段々と自分好みが出て来た。最近はもっぱらブラックニッカ クリアハイボールが友である。風味と後味が実にいい。糖質ゼロがまた心強い。原稿を書いて、打合せを済ませて、犬の散歩に行って、夕食までの間に軽く一杯、これがなんとも堪らない………。

なんだ、ただの酒飲みのたわ言かと思うなかれ。仕事の後の一杯(途中も多々あるが………)は火照った脳みそのクールダウンやリセットにとってとても重要なもの。これがコケたら次に向かう活力やアイディアの湧き上がり方が全然違って来るものなのだ!!

………とバカボンのパパのように大声で家族や友人や仕事仲間に宣言しつつ、今夜もハイボールに舌鼓を打つのだった。

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