2011/9/20 火曜日

『高みを目指して』

小森陽一日記 10:13:01

ようやく、ようやく朝、晩が涼しくなり掛けて来たようなそうでないような……。いよいよ秋が来るんでしょうか?もういい加減暑いのも飽きました。そろそろ一息つきたいものです……。ただ、僕には季節の代わり目が危険です。体調管理に気をつけていないと、じんましんの嵐というひどい目に合います。
  
先週も飲み会が多かった。東京組みが二件、地元案件が一件、お世話になった海保のUさんと久し振りの再会、という感じ。軽く飲むのは平気だけど、深酒と睡眠不足が合わさると翌日はもうボロボロです。それでも溜まった原稿は消える事はなく、奥底から湧き上がって来る猛烈な吐き気と、悪魔の囁き声が聞こえる強烈な眠気と闘いながら必死に机にしがみ付く訳です。そんでもってまた夜は酒と寝不足の合わせ技。これが重なると自分でも可笑しくなるほどみるみる憔悴していきます……。そこに季節の変わり目がぶつかると、「ドーン!!」。後の祭となる訳ですね……。

そんな最中(どんな最中だ?)、いよいよ「海猿4」の撮影が始まりました。4をやるか、やらないか、臼井PやアンチカPと様々な話し合いをしました。正直な事を言えば、僕は当初反対の立場でした。もちろん羽住監督とも話しをしました。時にはぶつかったりもしました。ともかく色んな事をメールや電話ではなく、直接顔を見ながら話し合いました。その結果、首を縦に振りました。なぜか?「作りたい」という彼等の気持ちに一点の曇りも無し、まるでラオウのように真っ直ぐでストレートな純白の心が見て取れたからです。

ご存知の通り、「海猿」は二度、その年の邦画最高収益を上げました。これはもうとんでもない事です。山で例えるならエベレスト級な訳です。だがその山に再び挑み、更に高みを越えようとする……。はっきり言って大バカです。でも、それをやると言う。まるで高く険しい山がそこにあるから、登らずにはおられないという山男そのものです。ただ、そう言う男達は確かに眩しく見えました。首を縦に振ったからには僕も全力で応援に回ります。近々、撮影現場の陣中見舞いに行くつもり。その時の事はまたここで皆さんにお伝えしたいと思います。

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さて、「DOG×POLICE」もいよいよ公開が迫って来ました。先週は名古屋~大阪を駆け抜けたようですね。大阪ではワンコ達同伴での試写会だったとか。宣伝部もほんとに面白い試みを考えるなぁ。感心します。
先日、集英社文芸の担当Aくんよりメールが来ました。ヴィレッジバンガードさんの店内画像が添付してありました。「DOG×POLICE」の小説を強力にプッシュ頂いてます。ぐっとハートに染みます……。ほんとにありがとうございます!!嬉しいのは小説を読んだ方達が、「続きが読みたい」と言ってくれる事。この言葉は何より作者冥利に尽きます……。
僕はこの「DOG×POLICE」も「海猿」のように大きくシリーズ化出来たらと思っています。勇作や夏希や向井やシロの活躍はまだまだ始ったばかりですからね。しかし、こればかりは自分だけの思いではどうしようもない。どうか皆さんの温かい絆でこの作品を育てていっていただければと思います。宜しくお願いします!!!

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追記
昨夜の「深イイ話」、ゲストは隼人くんでした。隼人くんに変わって「DOG×POLICE」の告知をしてくれた有田さん、実に端的に内容をまとめてアピールをしてくれました。流石でした。ただ、一つだけ難を言うなら「警察犬」と連呼したところ。それを隼人くんは声高に訂正する事なく、さりげなく「警備犬」と言い直して後を締めました。隼人くんに人としての優しさが垣間見えた瞬間でした。
これだから市原隼人ってイイんです!

2011/9/13 火曜日

『純白の絆』

小森陽一日記 9:38:51

広島はパセーラでのイベントは、本当に沢山の人で盛り上がったようだ。佐藤Pから「凄い事になってます……!」とメールが来た。なんと言ってもパセーラはクランクインした場所、この作品の言わば聖地とでも言うべき所だ。そこで二千人もの人に歓声を頂けるなんて……。スタッフ、キャストの喜びは計り知れないものがあったろう。あぁ、僕も行きたかった……。
  
隼人くんとシクラメンは仕事で広島から東京へとんぼ返り、その他のメンバーはその日の内に福岡入りした。僕は仕事が押して遅めの合流、着いた途端、煮立ってドロドロになったもつ鍋を差し出された。何これ、×ゲームっすか?
でも、一仕事終えてみんなでワイワイ話しながら飲み食いするのはほんとに楽しい。特に恵梨香ちゃんと色んな話が出来たのは実に有意義だった。

次の日は監督、恵梨香ちゃん、僕の三人で舞台挨拶に立った。僕が「まだ映画を観てません」と言うと恵梨香ちゃんは「はぁ?」とビックリ。場内からも失笑が……。そう、この舞台挨拶が終ったら、お客さんと一緒に観る事になっていた。
言っとくがこれでも作者の端くれだ。その気になれば初号試写やマスコミ試写で幾らでも観れた。でも、そうしなかったのは理由がある。

自分の関係した作品を観るのは常に怖い。なんだかんだと理由を付けて観るのを先延ばしにしてしまう……。監督がどうだとか、役者がどうだとか、そんな事じゃない。ただただ無性に怖いのだ。
口ではなんとでも誤魔化せる。でも、本心を誤魔化すのは無理だ。
(もし、面白いと感じなかったら―――?)
それを思うとこんな僕でも寝付けなかったりする事だってある……。

ついに観念して「DOG×POLICE」を観た。本心から言う。良かった。ほんとに。勇作とシロ、副題にある通りまさに純白の絆がそこにあった。自分の名前がクレジットされた作品で、涙腺が決壊したのも初めてだった……。
あぁ、これでもう悶々とする日々とはお別れだ。自信を持ってはっきりと皆さんに言える。
「DOG×POLICE」、絶対に観なきゃソンです!!

余談ですが、「DOG×POLICE」のホームページのいろんなところに顔を出すシロが実に可愛い。是非とも探してみて下さい。

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2011/9/6 火曜日

『大きな「流れ」を感じた日』

小森陽一日記 10:38:33

物事には「流れ」というものがある。勝負事しかり、話の展開しかり、人生の選択しかり。人の出会いや仕事なんかで使う縁もまた、この「流れ」の中にある。先日、強烈にこの「流れ」を意識した日があった。 
 
9月1日、「DOG×POLICE」の完成披露が東京は六本木ヒルズにて行なわれた。折りしもこの日は台風12号が関東に接近しており、無事に開催出来るのか、スタッフはギリギリまで判断と準備に追われていた。

同じ日、僕は福岡空港12:30発のANA便で東京へ向かう事にしていた。そのチケットを見ると三つの数字が並んでいる……。252と巨大台風の接近、これはもう2009年の「252 生存者あり」を思い出さずにはいられない。
しかもだ!
その「252」を共に作った佐藤、下田両Pとの新作、主演は「252 エピソード0」で早川勇作という消防士を演じた市原隼人くん。それも今回、同じ役名で警察官に挑んでいるのだ……。なんという見事なバトンタッチ、さすがにこの惑星直列のような繋がりにはしばし呆然とした……。

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計算では決して出来ない、何かとてつもなく大きな「流れ」。無理やりでもなく、逆らうでもない自然な「流れ」。
「よっしゃ! 来てる!!」
こういう時は止まらず動く。流れに乗れば物事は必ず上手くいくものだ。

日本各地から完成披露に来て頂いた皆さん、心から御礼を言います。本当にありがとうございました。残り一ヵ月弱、スタッフ・キャストで懸命に突っ走ります。どうか「DOG×POLICE」の応援宜しくお願いします!!

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2011/8/30 火曜日

『「S」5巻、発売!』

小森陽一日記 11:44:19

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出ました。この雄々しい神御蔵、かなり来てます。ゾクッとします。藤堂裕、一皮も二皮も剥けて、このままいくとズル剥け確定です。

それにしてもこの神御蔵、じっと目を見ていると吸い込まれそうです。この視線の先には一体何があるんでしょうか。国テロ正木圭吾?NPSの未来? それともいつか辿り着きたい己の姿か? 

先日、久し振りに1巻から読み返す機会があったのですが、穴があったら入りたくなりました……。神御蔵のなんと迷っている事か……。神御蔵の迷いは全て僕の迷いです。もちろん、考えて考えてこれがベストだと思って書いてはいるんですが、肩の力が入り過ぎていたり、色々言われて頭に来ていたり、その時は思いが及ばなかったり……。

雑誌の連載もこのブログを書いている今は100の折り返しを越えています。一重に支持して下さった皆さんのおかげです。本当に感謝しています。これからも常に迷うと思いますが、逃げは打たず、神御蔵と一緒に成長していけたらと思います。

「S 最後の警官」第5巻、どうぞ宜しくお願いします!!

2011/8/23 火曜日

『お手並み拝見 その七』

小森陽一日記 11:13:59

ビックリ……。さっき確かめたら前書いたのは2009年9月だった……。
「アナタそんなに映画観てないカ? 観てないのカ? それでヨクもの書けるネ」
先日、20年振りに連絡のあった大学時代の映画仲間、台湾人の呂さんならきっとこう言うだろう。いや、決して観てない訳じゃない。なんて言い訳してみる……。思い起こせば大学時代のあの頃は年間200本は観てたよなぁ。しかもオールナイト、4本ハシゴなんてざらにやってた。
「今日中にこの映画観ないと俺は死ぬぅぅぅぅ!」
なんか大袈裟で大バカなパワーだけはあったもんな。そんな僕の大学生活は島本和彦さんの『アオイホノオ』を読めば分かる!いやぁ、でもあのマンガ読むと最高に恥かしくなるんだよねぇ……。前置きが長くなったが、久々にいってみますか!

『エスパイ』 原作:小松左京 監督:福田淳 脚本:小川 英
久し振りだからって久し振り過ぎだろう!と突っ込まれそう……。この作品、1974年度の作品。超能力者同士の闘いを描いたものなのだが、幼心の記憶に焼き付いたのは若山富三郎さんの不気味さと、由美かおるさんのおっぱいだけという体たらく……。久し振りに観返したのだが、さほど印象は変わらず……。でもこれ、敬愛する小松左京さんの作品。先日永眠されてしまった……。この国にSFという根を張った偉大な先達に合掌。

『借りぐらしのアリエッティ』 原作:メアリー・ノートン
監督:米林宏昌 脚本:丹羽圭子 
ちゃんとメアリー・ノートンの「床下の小人たち」も読んでおります。でもあの本、ちょっとダメだった……。今誰が喋ってて、今何が行なわれているのかよく分からない。文体のせいなのか、それとも翻訳のせいなのかな?さて映画だが、こちらも今一つ乗れなかった。特にあの男の子の一言が頭にこびりついて、なんかげんなりしたもんな。小人さんの暮らし振りを知りたい人にお奨め。

『SUPER8(スーパー8)』監督、脚本:J.J.エイブラムス
スーパー8だって、懐かしいよなぁ。あの8mmカメラ。高校、大学時代、自主映画作りでお世話になりました。タイトルでぐっと興味をそそられた少数派です。宣伝では「E.T.」の再来なんて謳ってたけど全然別物。エイリアンは相当エグくて凶暴です。でもこの作品は好き。冒頭の列車事故、街中のドンパチ、そして主人公の男の子が監督ではなくてメイク担当という立ち位置がいい。例えゾンビメークでも、好きな女の子の肌に触れられると言うのは相当にドキドキする……。

『The China Syndrome(チャイナ・シンドローム)』 
監督:ジェームズ・ブリッジズ 脚本:マイク・グレイ他
多分、3.11以前に観たとしたら、ここまで引き込まれる事はなかったと思う。今なお事態は進行中の福島原発のニュースを連日見ているからこそ、この映画は圧倒的な臨場感で迫ってくる。いつも真実はこうして覆い隠され、正しい人が犠牲になる……。今だからこそ是非とも家族で観て欲しい作品。激しくお奨めです。

『鋼の錬金術師 ミロス嘆きの丘の聖なる星』 原作:荒川弘 
監督:村田和也 脚本:真保裕一 
原作には無いオリジナル・ストーリー。単行本10巻辺りでエルリック兄弟が西に向かう部分を一気に膨らましたもの。単純に鋼錬ファンの一人として楽しめた。ただ、闘いの最中に大事なセリフを言われると、動きを追うのに必死で頭に入って来ない。それと、作画が……今一つ。時間、無かったんだろうな……。

以上、言いたい放題でスミマセン……。こんなレビューですが、ほんの僅かでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
まだまだ観たい作品、山ほどあります。次回はそれほど時間を置かずにやりたいと思いま~す!

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