2012/2/7 火曜日

『寒波到来』

小森陽一日記 10:21:24

寒い日が続いている。それでもここ数日は寒さも少し収まったが、また明日辺りからぐっと冷え込むらしい。天気予報を見ると福岡も雪マークが付いていた。北陸や東北ではとんでもない量の雪が降っている。スキーに行った事がない身としては、3mを越す雪の壁など想像も出来ない。せいぜい10cm程度の積雪で「おーっ!」となってしまう。

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寒いとおっくう億劫になるのがマイの散歩だ。手術をした足も随分地に着けるようになり、散歩も楽しめるようになって来た。それはいいのだが、いかんせんこっちが外に出たくない。寒風吹きすさぶ中、いつまでもクンクンクンクン……匂い嗅ぎで待たされると、「いい加減にしとけ!」となってしまう。

今月はどこにも行かず小説を脱稿しようと頑張っている。脱稿したとしてもその後の推敲に随分手間取りそうなシロモノなのだが、やはり書き終えるという瞬間は何べん体験しても嬉しい。じわーっと身体と心に効いてくる。その瞬間を夢に見つつ、まだ切り立った崖を登ってる感じだ。

登ると言えば大好きな番組の一つ、「世界の果てまでイッテQ!」でまたイモトが山にチャレンジする。今度はアンデス山脈!! マイナス20度、舐めたら死ぬ極限の世界……。登山家でもないただのタレントにここまで過酷な事させんなよ、と思いつつ、見てしまう。そして、イモトの頑張りにじーん……としてしまう。ムチャクチャだけど、じーんとしてまうもんな……。

全国的にインフルエンザが爆発的流行をしているようだ。アンデス山脈のてっぺんや南極みたいに厳しい場所ではウイルスも生きられないが、どっこい日本は住み易い。手洗い、うがいをしましょう。インフルにかかるとほんとにツライからね……。

2012/1/31 火曜日

『鉄の翼』

小森陽一日記 10:58:32

鼓膜が震えた――。いや、鼓膜だけじゃない。全身もだ。ビリビリと電気が流れたように振動する。これがウワサに聞く衝撃波インパルスって奴か……。旧滑走路に立ってF-2の離陸を見つめる。目の前を鉄の翼が唸りを上げて飛び立つ。「ゴーッ!」なんて音じゃない。「ガリガリバリバリギャリギャリ!!!!」。口ではとても真似出来ない。それくらい物凄い音だ。それがアフターバーナー点火時には更に跳ね上がる。オレンジ色に染まったエンジンが爆発的な推力を鉄の翼に与える。目の前を通り過ぎるのはほんの一瞬だ。しかし、身体にぶち当たった衝撃波は、この先決して消える事はないと思う。

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取材は大好きだから色々と出向くのだが、今回の取材はこれまでに体験した数多くの取材の中でも一、ニを争う思い出深いものとなった。航空自衛隊第8航空団の築城基地、いやもう本当に楽しくて仕方がなかった。取材はジャーナリストのI氏と集英社のAくんとで行なった。自衛隊の造詣が深いI氏に段取りを取っていただいたおかげで、F-2やF-15といった戦闘機をパイロットの皆さんに解説していただきながら間近で(コクピットに座る事も出来た!)見る事が出来、被災した松島基地を離れて九州で飛行訓練を行っているブルーインパルスの訓練を基地の屋上から見学し、かつての名機F-86の展示物に乗せていただいたり、整備士の方に戦闘機のエンジンの整備の話を聞いたりなど、帰りには基地発祥のカレーをお土産に頂いたりと、本当に盛り沢山の体験をさせていただいた。

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エンジンが二つありガッチリ体型のF-15、エンジンは一つだけど半端じゃないパワーを持つF-2、どちらも甲乙付け難くスペシャルにカッコイイ。でもなんなんだろうな、この腹の底から溢れる興奮は? ワクワクし過ぎて口がもつれる自分に正直ちょっと驚いた。2012013103.jpg

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それにしても、空自の皆さんの気持ちのいい事! 出会った人達はみんな朗らかに笑う人達ばっかりだった。こんなに笑顔が印象的に映ったのは海保以来かも知れない。いつも空を見上げてるからかな……。今回の最大の収穫はあの笑顔だと思う。 

あーまた行きたい。いつか戦闘機に乗ってみたい。夢みたいな話だけどね。
築城基地の皆さん、ありがとう。お世話になりました!!

2012/1/24 火曜日

『スペクタクル』

小森陽一日記 9:28:24

人生に平凡なし。平凡は人生と無縁。どんな偉人だろうと赤ちゃんだろうと一日は24時間で、生きてる限り色んな事が起り、怒ったり泣いたり笑ったりする。人生はスペクタクルの連続なのだ。先日、パソコンを抱えて上京した。2012年初上京、3泊4日の工程である。やはり、色んな事があった……。

第一のスペクタクルはウルトラの生みの親の皆さんと新年会。飯島監督、上原正三さん、桜井浩子さん、そして円谷プロのKさんと会食。このメンバーで食事をするのは二度目だが、やはりキンチョーする。「えーい、さっさと酔っ払ってしまえ」とグラスを空けるが、一向に酔いは回らず。なぜか冴える……。やはり初代のオーラは凄い。近々の再会を約束して別れる。

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第二のスペクタクルは東宝スタジオ。アンチカPのお誘いで「踊る~4」の現場にお邪魔する。細部まで徹底的に作り込まれたセットと小道具にただただ驚嘆する。これならどっから撮ってもちゃんと「踊る~」になる。リハーサルはシリアスなシーン、織田さんと小栗くんがお芝居の火花を散らしている。ズケェ、ピリピリする……。本広監督にご挨拶。「海猿」は連載当時から大好きだったそう。とても嬉しい。次回ゆっくりと飯でも行きましょう。もう一人、伊藤淳史くんと初対面。今だに「工藤さんと言われます」と言ってた。伊藤君、はまり役だったもんね。撮影、大変な時は胃薬飲んで頑張って!

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第三のスペクタクルは吹雪の中、横浜防災基地奥の巡視船「やしま」での取材。冷たい手すり、ブリッジの計器類、エンジンルームの油の匂い、そして海保の人達。なんか古巣に帰って来た!という感じで幸せだった……。昔懐かしい人達にも会えて、あらためて自分のキャリアの始まりを感じた。え、なんで巡視船に乗ったかって、へへへ、それはもちろん「S」の為ですよ。警察と海保が絡む話は一度でいいからやってみたかった。もちろんスペクタクルたっぷりに描くつもり。乞うご期待!

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第四のスペクタクルは佐野眞一さんの「あんぽん」。ご存知ソフトバンクの孫正義会長のノンフィクションだ。一日で貪るように読んだ。近年、これほどまでに面白いと思った本はない。著者の佐野さんは一度だけパーティでご一緒になった。その時は病み上がりで、車椅子に乗っておられた。だが、この本の佐野さんは違う。あの時とは別人だ。とんでもなくアグレッシブに動き回る。元々こちらがホンモノなんだ。凄まじい取材量と冷静冷徹な作者の目、決して流されない歯に衣着せぬ物言い、圧倒されるほどの気迫を感じる。佐野さんだから「あんぽん」が書けたのだ。そんじょそこらの物書きだったら火傷する。

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明日はまた泊り掛けで取材だ。間違いなくスペクタクルを味わう事になる。今年も面白くなりそうだ。

2012/1/17 火曜日

『クウェートの豆っ!!』

小森陽一日記 10:30:34

これまでこのブログにも何度か登場した事のあるトッキューの元隊長さんとその嫁さん、お正月休みにクウェートから一時帰国してました。先月中頃、僕が何かの打ち合わせを終えてタクシーで移動中、電話が掛かって来ました。
「妻が小森さんのブログを開いたら、今東京にいるみたいよって言うから」
いるもなにも丁度霞ヶ関を突っ切ってる最中で、右手には海保のある国土交通省がデーンと見えています。まるでどっかで見張られているかのようなタイミング、苦笑するしかありませんでした。
  
そんな二人がまたしても大好物を送り届けてくれました。写真のコレです。

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クウェートの豆と書いたけど、クウェート産なのか、それともよそから持って来て味付けして売ってるのか、詳細は分かりません。パッケージを見ても例のアラビア文字でなんと書いてあるのかさっぱりです。
売り場はクウェート市内にある滅茶苦茶でかいショッピングセンターの中の豆屋さん。色んな豆が透明のケースの中に入っており、取り出して適当に試食して気に入ったら買う、という感じでした。僕は甘いのか塩辛いのか酸っぱいのかよくわからない味付けのピスタチオが大層気にいり、滞在中はそればっか食べてました。夫婦が帰国する度にピスタチオをねだり、今度もやっぱり三袋も届けてくれました!

このピスタチオ、ハイボールと合うんです。ポリポリと食べながらグイッと飲む。この繰り返し。こんな所に至福ってあるもんです。もしもクウェートにいかれる事があれば、是非ともこの豆をお試し下さい。病み付きになる事請け合いです!

2012/1/10 火曜日

『ピュリツァー賞』

小森陽一日記 10:13:39

年明け一発目に届いた資料、しかし、いつもいつも資料ばかりじゃ味気ない。たまには違うモノも食べてみたい!という訳でこんな本を買いました。
  
『ピュリツァー賞授賞写真全記録』 日経ナショナルジオグラフィック社

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ピュリツァー賞とはアメリカの新聞王、ジョゼフ・ピュリツァーの遺言により、ジャーナリストの質の向上を目的として1917年に設立された賞なんだそうです。
僕は今までずっと「ピューリッツアー賞」だとばかり思っていました。その認識が覆されただけでも、この本を買った意味があるというものです。
なんてね。そんな与太は一度ページをめくれば掻き消えます。

時間を忘れてじっと読み耽りました……。写真の中から音や匂いが溢れて来る感じがしました……。人間のする行ないに息を呑む思いでした……。
だけど、一番堪えたのは、こんなにも輝かしい賞を受賞したカメラマンが全員が全員ハッピーではないという事。
「自分は助けるべきだったのでは?」
「どうしてあの時、シャッターを押したのか?」
自分の行為に苛まれ、ついには自ら命を絶ったカメラマンもいました……。それを知ってもう一度この本を捲ってみると、同じ写真が全然違う印象で迫って来ます。

年始めにはすこぶるいい本です。お薦めします。

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