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第33話 『散歩する惑星』より メカニズム怪獣 リッガー
吉野屋徳兵衛
 


さて、次は何を作ろうか………、そんな思案をしていたある日、仕事場に来てテレビを見ていた娘が「パパ、次はこれ作ってみてよ!」と言った。指をさしている先にはリッガーがあった。多分、ピンクのクリアパーツで出来た目が可愛かったのだろう。それを差し引けば、とても娘の好きな感じの怪獣ではない。そんな訳で、翌日よりキットを製作する机の上にリッガーが乗った。
吉野屋印のキットは総じて大きい。以前に作った橋本氏原型のゴルドンも大きかった。まだ仮組み状態のアンノンやキングザウルスV世もやはり大きい。もちろん荒井氏が原型を手掛けたリッガーもそうだ。全身の美しさ、細部の素晴らしさを堪能する前に、まずはそのずっしりとしたレジンの重みに耐えねばならない。片手にキットを抱え片手にエアブラシのノズルを握り、腕の震えを我慢しながら塗り分けを進めるのは中々の拷問である………。だから今回は後足と尻尾を外した状態で塗装する事にした。
マニア諸兄はご存知の通り、リッガーは恐竜戦車の改造である。セブンと激しい格闘を演じた着ぐるみの痛みは目を覆うほどひどく、あちこち破れ、剥げ、ボロボロである。そのボロボロを修復した後なのか、それとも目立たないよう隠す為なのか、体色はすこぶるはっきりしない。黒やこげ茶や青、緑、黄色をごちゃごちゃに塗り倒し、最後に全身に埃をまぶしたような感じなのだ。色んな資料を見たりDVDを見返したりしたが、コレだと言える色はやはりわからなかった。だから僕もごちゃごちゃに塗り倒す事に決めた。ブラックで皺にラインを入れ、グリーンとグレーを混ぜ合わせた色を調色してベースとした。その上にブラウン系、グリーン系、ブルー系を乗せ、エナメルのフラットブラウンやフラットアースで墨入れにウオッシングを施した。完全に乾いたらドライブラシで埃っぽさを表現し、後足、尻尾、そしてクリアの目玉を取り付けてしっかりパテ埋め。目玉は一度全体にクリアを塗った後、クリアレッドで縁にタッチを付け邪まなリッガーの眼差しを目指してみ。ようやく完成したリッガーを娘が見た感想は、「目が怖い………」というものだった。





全長 重量 材質 原型師
63cm 2.2s ウレタン樹脂 荒井 成一