四次元怪獣 トドラ
Chapter of ULTRAQ 〜TODOLA〜
第27話 『206便消滅す』より 四次元怪獣 トドラ
おまんたワールド 30cmの悦楽シリーズ NO.4
 
発売は今から12年前の2004年、春。まだ、高垣さんがおまんたワールドとして活動されていた頃の当日版権モノだ。もちろん、キットはマグマとして発売されていた。箱の中にはインストとは別に小袋が収められており、「マグマとは異なる怪獣として製作したい方はこのパーツを御利用ください」というメモ紙と、三種類の針金が入っていた。例によって自作せよ、頑張ればできますというガレキ精神である。こう言われると発奮してしまうのは、原型師の思うツボであろう(笑) しかし、如何ともしがたい問題が別にあった。左右の前足パーツがどちらも右だったのだ。これはさすがにどうしようもない。とはいえ、随分と昔の作品である。パーツなんてもはや残ってはいないだろう。半ば諦め半分で高垣さんに相談のメールを入れた。すると、「左足が一つだけ見つかりました」という連絡が! ありがたい、これで作ることが出来る!!
製作するにあたって久し振りに「206便消滅す」を見直した。煙を割って登場する四次元怪獣トドラ……ではあったが、画面に映っている時間はごく僅か、ものの三分もないんじゃなかろうか。これじゃあ印象が薄くても仕方がない。ちょうど、企画が「アンバランス」から怪獣路線へと変更された過渡期の作品、無理やり怪獣を容れ込んだ感は否めない。それは端に置いておいて、組み立てと整形は特に問題はない。気にする箇所といえば、前足と後足をバランスよく胴体に取りつけることだけ。まずは口の中を塗装し、下顎を取りつける。全身を黒から立ち上げて、茶系で攻めていく。途中、筆でジャーマングレイを乗せ、部分的にマグマの名残を感じさせるようにした。お腹周りはグレイから白へ。体色の茶色と腹回りの白を馴染ませるように、筆と墨入れで繋がりを施しつつ、エアブラシでいらない部分を消していく。横山先生曰く、「エアブラシは消しゴム」なのだそう。まさに的確な名言だと思う。トドラの所以たるヒゲは三種類の太さで表現する。先端はニッパで鋭角に切り、ヤスリで先細く仕上げた。
出来上がったトドラを眺めてふと思う。あの時、高垣さんは偶然を装っていたが、もしかするとわざわざ左足を抜いてくれたのかもしれない……。









全長 重量 全パーツ数 付属品
230mm 1100g 9点 トドラ変更パーツ(針金)
原型師      
高垣 利信