第20話 『海底原人ラゴン』より 海底原人 ラゴン
NEW ULTRA WORLD 怪獣特捜隊 NO:002
 





以前より妻からリクエストされていた。怪獣と言えば巨大で、ゴツくて、厳しいのが定  番。だがこのラゴンは、そんな怪獣の中にあって母の温もりを感じさせる希少な存在である。あやす様に子供を抱いて優しく見つめるラゴン………、だが、作る方としては大変だ。ヒレあり、ウロコあり、おまけに小さな子ラゴン付きという三重苦、しかも体色は苦手な緑ときてる………。うーん………、迷いながらもラゴンを手に取った。
原型は鎌田氏、後期Jr.ワールドを一手に支えた原型師さんだ。小振りながらも細部まで丁寧に表現された技、こういう仕事を見ると完成させる側としても手を抜いてはいられない。ベースにブラックグリーンとダークグリーン、墨入れにはグレーを使った。全体的に沈んだような体色となったところで、様々なグリーンとブラウンでタッチを付けていった。ヒレはカーキや黄土色などを使ってグラデーションを掛け、ブラウンで斑紋を書き込み魚類のヒレっぽさを追及してみた。子ラゴンは母ラゴンよりも明るめになるよう、イエロー系に寄せて仕上げてみた。
全28本ある「ウルトラQ」のエピソードの中で、ベスト3に入るほど僕はこの回が怖い。奪われた子供を求めて海からヒタヒタと上陸してくる海底原人………、モノクロの画面と相まって不気味さは強烈だった。そしてこのラゴンの造型、いかにも海のどこかにいそうな、そんなリアルさが漂っていて、なんとも気味が悪かった………。

全高 重量 材質 原型
165mm 90g ウレタン樹脂 鎌田 賢美