第3話 『科特隊出撃せよ』より 透明怪獣 ネロンガ
VOLKS ORIENT HERO SERIES NO:015
 


このネロンガ、とある方からのプレゼントでした。「再塗装してください」とのコメントが添えられておりました。所々色剥げが目立ち、パーティングライン、繋ぎ目の処理もちょっと荒っぽく……。何より随分ホコリを被って可哀想な状態でした。そこで、シンナーを使っての塗装落としからスタート。しかし、大型キットの為に部屋での作業は無理。庭のウッドデッキで歯ブラシを使って地道に頑張ったのですが、強烈な匂いにふらふらになり、塗装もそこそこ残ったまま、下地のサーフェイサーなんてほとんど落ちていない状態で断念しました。まぁ、上から塗ればなんとかなるだろうとの安っぽい考えも胸中にありました。後日、下地や塗装を覆い隠すように白いサフを塗りたくると、折角のモールドはどこへやら。潰れて見えなくなり、ネロンガがただのデブに変身してしまいました……。しばらく見て見ぬふりをしてほったらかしていたんですが、ある時に一念発起! 知り合いの工房に連絡を取り、Dさんにお手伝いいただきながら、今度はすべての塗装を綺麗に落としました。繋ぎ目もきちんと処理する為、パテ埋めされていたパーツも全部ばらし、パテを削ぎ落としました。二度のチャレンジで、ようやく箱に詰められ売られていた状態が現れた訳です。
原型は川岸氏。往年のボークスJr.を支えた素晴らしい原型師さんです。あらためてネロンガを組んでみると、「動」を感じさせる素晴らしいポージングとともに、ねじられた時の皴の入り具合やたるみが完璧に表現されているのが分かります。とは言え、二十年ほど前のキットな為、パーツの噛み合わせは最悪、気泡も溢れんばかりに入っておりました。そこを愛情で乗り越えようやく塗装開始。ブラックから立ち上げて、グレー系やブランウン系と行ったり来たり。部分的に何度も墨入れを繰り返して色を調整しました。背びれは最初からイエローで攻めるのではなく、かつての写真が物語っている通り、いったん体色と同じ色を施してからの上塗りという形を取りました。完成までにはいつもの何倍もの時間が掛かりましたが、仕上がりには満足しています。何しろ一度はゴミにしようかと思ったくらいでしたから……。諦めずにやり通せばなんとかなる、そんな事を実感した2015年のお正月となりました(笑)









全高 重量 パーツ数 原型師
240mm 2400g 13点 川岸 敬厳