始祖怪鳥 テロチルス
第16話 『大怪鳥テロチルスの謎』
第17話 『怪鳥テロチルス東京大空爆』より 始祖怪鳥 テロチルス
吉野屋徳兵衛 ウルトラ怪獣シリーズNO.7
 


 新マンの前後編は傑作揃いである。MATが解散の瀬戸際にまで追い込まれるグドン・ツインテール編。竜巻、津波とおよそテレビの範疇では考えられないような大規模特撮を見せてくれるシーゴラス・シーモンス編。坂田兄妹と新マンの処刑を描いたナックル星人・ブラックキング編。そしてこのテロチルス編である。これらのドラマはすべて、上原正三一人の筆によって描き出された。怪獣の出自が明確であり、そこに濃密な人間模様と様々な対怪獣戦略を絡めてハードな物語が展開する。今見てもまったく見劣りがしない、実に素晴らしい前後編となっている。かくしてそんな物語を一匹で支えたのはテロチルスのみである。いかにこの大怪鳥が強烈なインパクトを持っているか、それだけでも分かるというものだ。
 原型は浅川洋氏。今回はご自身のブランドからではなく、盟友である山田氏の依頼に応えた形で吉野屋からの発売となった。僕はワンフェス会場でこのキットの実物を見たのだが、まずは大きさに驚かされたものだ。30cmを有に超えている。しかも、羽を広げている為にボリューム感はさらに増している。顔から首にかけての柔らかな質感と、筋肉質なボディの対比、そしてマントのような漆黒の羽。造型は見事とほか言うべき言葉がない。ともすれば人気が落ちるといわれる新マンの怪獣を、このサイズとこのクオリティーで出すという気概が堪らない。
 塗装は……苦労した。決して舐めていたワケではないが、おおよそ茶色と黒の二色しかない体色、そんなに時間は掛からないだろうと思っていた。だが、予想に反してひたすら時間だけが過ぎた。塗っても塗っても終わらない、いや、終われないのだ。茶色の中にある赤やオレンジや黄。黒の中にある茶や青や緑。迷いながら、失敗しながら、何度も繰り返した。正直、まだ納得できない部分もある……。これも精進しなさいという無言の教えなのだろう。しかし、さすがはテロチルスだ。前後編を一匹で支えた主役だけのことはある。







全高 重量 パーツ数 材質
340mm 1300g 12点 ウレタン樹脂
付属品 原型製作    
なし 浅川 洋(アス工房)